身近に起こっている自動化のトレンド(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
現在世の中は科学技術の急速な発達で大きく変わろうとしている。囲碁の対決で人工知能が人間に勝ったということで、私たちは人工知能が今後どのような変化をもたらすのか、神経を尖らせている。すなわち、技術の発達で世の中が便利になってくることを期待する一方で、今後どのような変化が私たちを待ち構えているのかについて不安を抱えている人も多い。人工知能などの技術が登場したことで、今まで人間がやることが当たり前だったことが 、機械やコンピュータに取って代わろうとしている。センサー、カメラ、半導体などで支えられた最先端技術は、人間と機械との関わり方自体を根本的に変えようとしている。
筆者は最近バイオ関係の仕事に関わっている。そのなかでも再生医療が中心だ。再生医療では、細胞の培養が要である。細胞培養するためには、培養器を始め、各種機器をそろえることも大事であるが、細胞培養には人間による細かな作業がどうしても必要になる。ところが、日本では細胞培養を自動化する動きが実用化しつつある。ロボットがプログラムに従って、すべての培養プロセスをミスなく実行してくれるわけだ。細胞培養を自動化するメリットは、人間の出入りがあまり必要でなくなるため、作業空間を密閉空間にして無菌状態を保ちやすいし、人間が犯すようなミスもなくなるし、機械なので24時間不平不満なしに作業をしてくれるなど、いろいろなメリットがある。私はたまたま自動培養装置を開発した会社と打合せをする機会があって、話を聞けば聞くほど、個人的には今後細胞培養の自動化は間違いなく加速すると思った。実際の装置を見た韓国の研究員の感想はというと、自動培養装置がこれほどまでに精緻にできているとは夢にも思わなかったと言っていた。
それだけではない。アンドロイドを開発して、ホテルなどの受付や子どもの英語教師として活用されるようにするという会社があって、数日前に開発現場を見せてもらうことになった。女性型のアンドロイドを見せてもらったが、びっくりするほどのできばえであった。今まで私たちが見たAIBOなどのロボットと違って、人間そっくりの美人アンドロイドができていた。子どもと英語で自由に会話ができるだけでなく、子どもに英語を指導できるという。ますます人間の活躍の場はなくなるのではないかと危惧したものの、一方ではアンドロイドの有効性を考えると、普及は加速すると思われた。
それから、自動化の極めつけは自動運転車であろう。今まで運転は人間がするものであるという前提があった。まだ一部では運転は楽しみの1つとして捉えている向きもある。しかし、自動車は家電のようにコモディティ化して、自動車を移動手段の1つと割り切るような時代になった。とくに、高齢化社会が進むことによって、人間が運転をしなくても、人間よりも安全に目的地に運んでくれる方法があったらいいと思う人も多いのではないだろうか。完全な自動運転車はまだ実現していないが、運転支援システムはかなり色々と導入されているのが現状である。しかし、運転支援システムだけでなく、運転をしなくても、自動車が人を運んでくれる自動運転車を実現させるため、各国の自動車メーカーは開発に熱を入れている。
(つづく)
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