2024年11月27日( 水 )

他人事ではないゴルフ練習場の鉄柱倒壊

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 9月9日、台風15号の影響で千葉県市原市のゴルフ練習場「市原ゴルフガーデン」の金属製のポールやネットが倒れ、1人がけがをしたほか、周辺の住宅で屋根が壊れるなどの被害が出た。

~経緯について~

 当初、ゴルフ練習場側は「費用の補償はする」と言っていたが、14日になってゴルフ練習場側から連絡があり、「自然災害で自分ところも被害者であり、鉄柱の撤去以外の補償は一切しない」と説明があったという。

 26日、解体業者が住民向けの説明会を市原ゴルフガーデン近くの公民館で開催し、24世帯、51人が参加。出席した住民によると、鉄塔の撤去作業に名乗りを上げたのは東京都江戸川区に本社がある大手解体業者の(株)フジムラ。鉄柱が倒れた翌10日、同社の藤村一人代表取締役会長が、市原市に撤去の協力をしたいと手を挙げ調整を進めていたという。

 フジムラの担当者は、「被害を受けた約40世帯から同意を得たうえで、2カ月かけて鉄塔を撤去する作業内容」などを説明し、「すでに準備はできている」と語ったという。

 ところが、撤去作業の過程で新たな損傷が発生した場合に、「当社への責任を追及しないことをご同意ください」という文言が同意書に含まれていたため、出席者から「損害が出た場合は、どなたが補償することになるのでしょうか」「(ゴルフ練習場側の)オーナーや弁護士がいないなかで、29日までに返答するというのはちょっと不安」との声が相次いだという。

 善意で手を挙げたフジムラの着工の見通しは不透明となっている。今日の10月4日で倒壊から25日を迎えたが、いまだ鉄柱は撤去されず、住民は不安を抱えたままの生活を強いられているという。

 鉄柱の倒壊原因をめぐって国土交通省は、「構造上の問題なのか、自然災害なのか」を調査中であり、千葉県も「調査結果を踏まえ対応策を検討する」としており、被害を受けた住民は今後も厳しい毎日が続くことになりそうだ。

~他人事ではないゴルフ練習場~

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 【表1】を見ていただきたい。筆者の住む島根県益田市にゴルフ練習場はゴルフレンジスカイヒルとサングリーンの2カ所あったが、サングリーン(所在地:島根県益田市久城町237-3)は2016年2月16日、松江地裁益田支部から破産手続きの開始決定を受けて廃業しており、現在はゴルフレンジスカイヒルの一カ所だけとなっている。

【写真1】サングーンの正面入り口(2019年10月3日撮影)
【写真1】サングリーンの正面入り口(2019年10月3日撮影)

 【写真1】は今から2年半前の2016年4月19日、破産決定を受けたサングリーンの荒れ果てたままの正面玄関および駐車場跡地である。

【写真2】放置されたままのサングーンの鉄塔(2019年10月3日撮影)
【写真2】放置されたままのサングーンの鉄塔(2019年10月3日撮影)

 【写真2】は打席の左側を奥から撮った写真である。高い方の鉄塔の左側に個人住宅があるのがわかる。鉄塔が一本立ちになっており、強風を受ければいつ倒れるかわからない状況にある。 市原ゴルフガーデンは営業中であるものの、これまでの経営陣の応対を見ると経営は厳しいように見える。サングリーンは自己破産しており、鉄塔が倒れて民家が被害を受けることも予想されるが、自己補修せざるを得ない状況にあるようだ。

 全国各地にゴルフ練習場の鉄塔はたくさんあり、今後ゴルフ練習場側と鉄塔に接する住民とのトラブルは増えてくるのではないだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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