台湾人からみた安倍内閣 日本版台湾関係法への期待
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台湾の対外関係に詳しい台湾人から安倍首相以降の政治状況に関して意見交換をする機会があった。自民党総裁選の各候補者の対台湾・中国認識および政策について話すなかで、同人は「安倍首相ならば日本版『台湾関係法』を制定してくれるのではと期待していた」と残念がっていた。菅義偉官房長官の次期首相への就任が有力視されるなか、菅氏が大枠では安倍内閣の外交政策を引き継ぐものの、その台湾政策がよくわからないという不安も覗かせていた。
台湾関係法とは、1979年1月に米中が国交を樹立し、同時に米台の国交が断絶された後、東アジアにおける安全保障環境の急激な変化を避けるため、同年4月に米国が制定した法律である。この法律に基づき、米国は米台間の既存の条約の効力維持、駐米台湾人外交官への外交特権の保全(例外もある)、台湾への米国製武器提供などを行っている。
日台間にはこの法律がないこともあり、たとえば外交官は一般旅券で両地を行き来している。安倍内閣は、台湾における事実上の日本の大使館・総領事館の役割をはたす出先機関である(公財)日本台湾交流協会について、2017に従来の日本交流協会から日本台湾交流協会へと名称を変更するなど、従来と比べて一歩踏み込んだ措置をとった実績がある。
仮に日本が台湾関係法の制定に動けば、台湾を自国の核心的利益(譲歩の余地のないもの)と位置付ける中国が猛反発するのは必至である。日本にとって、対中国関係と対台湾は一方を立てればもう一方が立たずというようなトレードオフの関係としてとらえられることが多く、また台湾人としても、日本に対し中国との関係を大きく悪化させるような政策転換を期待できないことは百も承知であろう。
ただ、中国とも戦略的互恵関係に基づき関係改善を進めてきた安倍内閣であれば、双方との関係を並行して処理・改善できたかもしれなかったということか。【茅野 雅弘】
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