Z世代を意識しながらコロナ禍での変化に対応を図る(後)
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今が転換期
このコロナ禍をとおして、泰泉閣には物事の優先順位を付け、最速で営業再開させた判断力、アトモスには逆境に立たされても行動し続ける力強さを感じた。前者は過去数年間の被災体験を通して教訓を得ており、災害時に判断・対応する能力を身に着けていたこと、後者は社長の根底にある「人を思う心」から溢れ出た力が最大の要因だろう。「Withコロナの時代」に両社が活躍することで、本当の意味で競争を勝ち抜いていける会社というものが確立していくはずだ。
両社に共通する点として、今が時代の転換期であり、これからの業態について、従来とは違うアプローチで考えていかなければ確実に時代に取り残されてしまうという意識があった。今年は世間でも知られている会社でさえも倒産したというニュースが流れることが少なくない。デジタルシフトや働き方改革など、近年少しずつ意識していかなければならないと思っていたものは、急速にその需要を高めている。両社のように、今動き出さなければ手遅れとなってしまう。
加えて需要は消費者の世代交代により、大きく変わっていっている。両社にはマーケティングを怠らず、常に新しい風を取り込もうとする積極性がみられる。このことは、他者が自身とはまったく異なる常識をもつ可能性を考えて接しなればいけないということであり、これは会社経営に限らず、人間関係構築においても同様であろう。
また需要の変化への対応に関連して付け加えるならば、両社ともZ世代の需要を研究している。記者自身Z世代に属するが、まるで実態のわからない新たな生物のようにとらえられているように感じられ、少し笑いを誘った。
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消費者層の大半がZ世代になれば、今までの商売の方法が通じなくなる可能性がないとは言い切れない。社内にZ世代はいるだろうか。この機会に彼らの言葉に耳を傾けてみてほしい。驚きとともに新たな知見を得ることができるはずだ。
(了)
【S】
解説
コロナショックにより世界中の国々が大きな経済的ダメージを受けている。とりわけ、観光業や飲食業は、人の移動や接触が制限されたことで、その痛手の大きさは深刻だ。世界的な経済危機であり、日本経済の危機でもある。経済危機は今までもバブル崩壊やアジア通貨危機、リーマン・ショックなどがあった。ただし今回のコロナショックが今までと大きく異なるのは、個人消費のストップから始まっている点だ。今までの危機は、いずれも不動産や株式など投資資産のクラッシュから企業が業績不振に陥り、それが個人消費の低迷へとつながっていった。
ワクチン開発に期待が集まる状況だが、観光業や飲食業の業績回復には、相当な時間を要すると見られている。コロナが収束しても、消費者がbeforeコロナと同じ行動原理をとることはない。afterコロナでは、これまでと異なる行動原理の消費者を相手に、ビジネススキームを考えていかなければならない。「SDGs」など重要なキーワードはいくつかあるが、そのなかの1つとして考えられるのが「Z世代」に代表される若者層の需要の取り込みだろう。
「ニューノーマル」を単に検温をしたりマスクをしたりする生活様式の変化だけと捉えるべきではない。消費者の需要そのものが大きく変化した世界。少なくともビジネスの世界では、それを「ニューノーマル」と捉えて戦略を立てるべきだろう。
【緒方 克美】
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