【大手企業を糾弾する/大和エネルギー】脊振山系の風力発電所建設計画からみえること(後)大和エネルギーの建設計画と糸島を守る住民ら
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大和エネルギーの「(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業」の糸島・唐津市住民に対する説明会が、1月下旬に実施された。ほとんどの住民が同社の風力発電所の建設に対して反対の意志を表明しているが、大和エネルギー側は、建設にともなう法令・省令に準じた上での計画であると主張する。
龍国寺副住職・甘蔗健仁氏は、住民説明会時に大和エネルギーへ質問した内容を、以下の通り示した。
(1)風力発電所建設地から民家までの最低距離を700mと設定しているが、糸島・唐津市双方の住民は、田んぼや山の整備のために700mより内側に入るケースもあります。単純に風車から民家までの距離とするのではなく、日常生活の範囲として設定しなければ不適切だ。
(2)SDGs(持続可能な開発目標)が世界中で実施されるなか、何年もかけてつくっても寿命がわずか20年ほどの風力発電施設に、それほどの費用をかける意義があるのか。とても持続可能であるとはいえない。
(3)世界と比較して我が国の再生可能エネルギーの割合が低いという評価から風力発電所の建設を推進するのであれば、低周波の問題も世界基準で捉えるべきではないか。欧米では「風車病」と認められるケースがあるが、低周波音の環境基準がない日本では健康被害が発生しても被害届けは受理されない。
(4)風力発電施設での火災発生が各地で報告されている。約160mの風車から火災が発生した場合、どのように消火するのか。周辺は山林であり、大きな山火事となる恐れがある。2017年に唐津市串崎の風力発電所の風車から火災が発生した際は、出火場所が高すぎて消火用の水が届かなかったという事例がある。
(5)そもそも、なぜ糸島市と唐津市の脊振山系での建設が実施されるのか。客観的かつ論理的な理由を明示していただきたい。
住民からは、大和エネルギーに対して以下のように質問が殺到した。
「風力発電される電力の量は頻繁に変動するので、風車を増やしても火力発電所は減らず、CO2削減にはならない。電気が必要なときに風が吹くとは限らない」
「ハチクマなど渡り鳥の飛行ルートにあたるため、バードストライクの発生する可能性が高い。他の地域のバードストライクの状況を調査しているか」
「風車の場所は佐賀県立自然公園内の保安林であるが、動物への影響をどう捉えているか」
「高さが約160mの風車建設において、4mの掘削で間に合うのか」
「毎年のように甚大な被害をもたらす自然災害が発生しているが、倒壊したときはどうするか?」「修繕費は?」「倒壊したままのところもあるが」
「送電線の建設についての計画は何も説明がないが、どうなっているか」以上の質問に対して大和エネルギー側は、具体的な回答を回避し、「なぜ脊振山系が建設地に選定されたのか」という質問に対して、「国内でも有数の風量が計測されたから」という何とも透明性に欠ける回答に終始した。
甘蔗氏は、「巨大な風力発電施設が一度建設された後に、元の自然に戻すことは不可能です。また、風車は災害で停電したときには発電できません。大和エネルギーは地域に分散型の電源を確保し、避難所の非常用電源となる災害に強いシステムをつくってほしいです。これこそ、持続可能な社会の在り方として誰からも喜ばれるのではないでしょうか」と力説した。
総合建設業国内大手の大和ハウスグループの大和エネルギー。市民の安心安全な暮らしを確保することにこそ、大和エネルギーの最新技術をもって取り組んでいただきたい。今後も引き続き動向に注視し、つまびらかに報じていく。
(了)
【河原 清明】
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