矢西建設の「蹉跌」~絶好調企業に何が起きているのか(1)
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特殊重機を数多く保有し、近年では大規模な太陽光発電事業の造成工事を多数受注して増収増益を続けてきた矢西建設(株)。コロナ禍に沈む業界にあって数少ない絶好調企業の1つとして知られていた。しかし今、同社に出入りする社員を見かけることはほとんどなく、さらに将来性についても「不穏な噂」が一定の信ぴょう性をもって流布されるようになっている。矢西建設に何が起きているのか? データ・マックスがつかんだ最新の情報をお届けする。
特殊重機が強み~業績は絶好調
企業の将来性を予測する際の「リスク要因」として、事業分野ごとに想定される項目はさまざまだ。たとえばイオングループでは「事業に関するリスク」として、新型コロナウイルスリスクなどの適宜追加される項目に加えて、商品の安全性や競合激化、資金調達など11の普遍的リスクがリストアップされている。では、一見絶好調に見えるある企業が直面している「リスク」の正体は何なのか。取材班がつかんだ同社に関するいくつかの“異変”を基に分析することで、その正体を明らかにしたい。
福岡市早良区原に本社を置き、土木・建築工事を主要事業とする矢西建設㈱。業界内では、貴重な特殊重機を数多く保有していることで知られ、近年は太陽光発電(メガソーラー)事業にともなう造成工事を数多く受注して右肩上がりの成長を遂げてきた。現代表の新開勝氏によると83台の重機は常にフル稼働状態にあり、現場から現場への移動を繰り返しているため重機置き場や倉庫などは必要ないという。
近年の業績は「絶好調」のひと言。2020年5月期の売上高は前期から7億3,000万円以上増やして約67億円を計上し、当期利益も前期比2倍超の伸びで約5億6,400万円と、直近3期は増収増益の安定した財務内容で推移してきた。同社関係者によると、他社が保有しない特殊重機が営業上の強みとなってより利益を上乗せできること、さらに現場に派遣された技術者が営業マンと同様の働きをしていることなどが高い粗利率の背景にあるという。1人あたり売上高は実に業界標準値の3倍にも達する。
自己資本比率は16年5月期の31.2%から、30%→37.1%→27.5%→29.5%(20年5月期)と堅調に推移してきた。05年の売上高が20億円弱、自己資本比率が12%台だったことと比較すれば、本業による「稼ぎ」の効率が向上するにつれて、順調に他人資本依存からの脱却を図っていたことがうかがえる。
(つづく)
【特別取材班】
<COMPANY INFORMATION>
矢西建設株式会社
代 表:新開 勝
所在地:福岡市早良区原1-41-3
設 立:1952年12月
資本金:2,000万円
売上高:(20/5)67億1,021万円法人名
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