2024年12月22日( 日 )

矢西建設の「蹉跌」~絶好調企業に何が起きているのか(3)

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 特殊重機を数多く保有し、近年では大規模な太陽光発電事業の造成工事を多数受注して増収増益を続けてきた矢西建設(株)。コロナ禍に沈む業界にあって数少ない絶好調企業の1つとして知られていた。しかし今、同社に出入りする社員を見かけることはほとんどなく、さらに将来性についても「不穏な噂」が一定の信ぴょう性をもって流布されるようになっている。矢西建設に何が起きているのか? データ・マックスがつかんだ最新の情報をお届けする。

第2の異変~謎の看板

 福岡市早良区の藤崎から南へ一直線に伸びる原通り。弥生2丁目を過ぎ、新開橋交差点の四つ角に位置する地味な2階建社屋が矢西建設の本社だ。その本社屋の前に新設された看板が、矢西建設の関係者のみならず西日本最大級の歓楽街・中洲の事情通の間で話題になっている。

 「なぜここに『あの会社』の名前が?と、驚きました」(中洲・飲食店関係者)。その看板に記されているのは矢西建設の名前だけではない。黄色の看板に矢西建設の名前と並んで赤い文字で大書されていたのは、中洲の古い住人がよく知るいわくつきの会社の名前だったのだ。

矢西建設の看板に大書された「レクリス」の文字
矢西建設の看板に大書された「レクリス」の文字

 「(株)レクリス」。レクリスの事業内容は、高級外国車の輸入・販売など。レクリス代表は、藤堂信太郎氏(47)。信太郎氏は、“中洲の女帝”の通り名で知られる「藤堂和子」ママ(75)のひとり息子で、和子ママは中洲の高級クラブ「ロイヤル・ボックス」を全国区の名店に育て上げたことで知られる女傑だ。

 「ロイヤル・ボックスや系列店のリンドバーグで、(西川HD)西川貞紀会長の姿を見かけることが増えています。息子の信太郎氏はレクリス用に矢西建設裏のプレハブを間借りしており、藤堂親子と西川会長の親密さが業界の噂になっています」(中洲関係者)。

 和子ママに比べ、信太郎氏の評判は芳しいものではない。直近では今年1月、信太郎氏が中央区大濠に借りていた建物と車庫の明け渡しや滞納家賃の支払いを求めて提訴され、4月19日に約211万円の支払いを命じる判決が下されている。信太郎氏はまた、12年前の09年5月に現法人名と同じ「レクリス」を倒産させたことでも話題になった。負債額が約50億円と巨額だったため、倒産当時は不透明な資金の流れが指摘されると同時に、販売先開拓に大きな力を発揮したとされる母親の和子ママの責任を問う声も上がっていた。

 現「レクリス」は12年設立。以前と同様に高級外国車の輸入販売などを手がけていたとされるが事業実態は不明で、さらに信太郎氏は昨年11月と今年2月に、業務上横領容疑で福岡中央署に逮捕される事件も起こしていた。

 西川貞紀氏と藤堂親子の蜜月について、和子ママは「事業が行き詰まって困っていた西川さんを助けてあげたいと思い、協力した」と話しており、貞紀氏自身も「(藤堂)和子ママに助けられた。人生の恩人だ。今はどんなことでも和子ママに相談して決めている」とする。

 一方、信太郎氏は今年4月15日、貞紀氏が昨年3月に設立した東亜商事の代表に就くとともに同日付で、西川HDの子会社であるオートポイント福岡(糸島市)の代表にも就任した。母親の和子ママも5月1日に東亜商事の監査役に就いており、貞紀氏と藤堂親子の関係はさらに強固なものになった。貞紀氏は東亜商事の事業を信太郎氏に任せた理由について、「(東亜商事の)前代表は反社会的勢力とのつながりがあって騙されて(横領されて)しまった。その後始末ができるのは信太郎しかいないということでお願いした」と話している。

西川ホールディングス

(つづく)

【特別取材班】


<COMPANY INFORMATION>
矢西建設株式会社

代 表:新開 勝
所在地:福岡市早良区原1-41-3
設 立:1952年12月
資本金:2,000万円
売上高:(20/5)67億1,021万円

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