2024年12月05日( 木 )

分譲地販売の陰に地場業者との馴れ合いの構図(3)

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 ガーデンヒルズ松陽台は、鹿児島県住宅供給公社が開発販売を手がける大型開発住宅地。しかし、販売不振を背景に、既存の住民の反対を押し切って県営住宅を建設した過去がある。そして昨年秋には地場土木工事業者数社が分譲地を1区画ずつ購入したことが判明。公社のなりふり構わない販売の影に地場業者との馴れ合いの構図が見えてきた。

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転売された土地

 今回、土木工事主体とした業者がこの松陽台の分譲地を購入した目的に、転売益が挙げられる。
 ある業者の窓口担当は「弊社は土木工事の受注がほとんどだから、土地の購入などはありませんよ。何かの間違いです」と言い切った。
 今回、6社の前期決算の受注構成の資料を入手した。これで見てわかるように、官庁関係からの公共工事が多く、うち3社は特に土木工事受注比率が高い(6社の受注構成参照)。土木工事主体の業者は自ら住宅を建設して販売まで行うということはないだろう。もともと手掛ける分野が違うので、最初から転売目的に見える。これでは“土地転がし”と言われてもいたしかたないだろう。

 建設工事業者への販売について公社側は、「建設業協会に販売の営業はしました。誓って個別の販売営業は行っていません」と、見返りの疑惑について否定した。しかしなぜ、こうした疑念が生じるのか?それは、公社から購入した一般の人々は、土地の転売が禁じられているからだ。個人と業者用とで転売について公社は「契約内容が違う」としているが、その差はあまりにも大きい。

県営住宅の工事を受注した丸久建設

 取材して感じたのは、馴れ合いとも思える、県と建設業界の“ギブ&テイク”である。その様子がうかがうことができたのは、鹿児島県はガーデンヒルズ松陽台の事業計画を強引に変更し、鹿児島県住宅供給公社から取得した土地に県営住宅を建設しており、第二期工事を開始する。その土地整備を受注したのが、土木工事業者6社の1社である丸久建設である。入札は今年の始めに行われ、2億2,350万円で同社が落札した。これを見る限りまさにギブ&テイクと思われても致し方ないだろう。

 

(つづく)
【道山 憲一】

 
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