【読者ご意見】安全保障関連法施行~テロとの戦いは反撃との戦い
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3月29日から安全保障関連法が施行された。政府は、これで今までよりも、この国の安全が高まったと言うが、本当にそうだろうか。ブリュッセル、パリでのISによる連続爆破死傷事件を見ればわかる。他国に攻め入り、爆弾を落として人を殺しながら、自国の国民は安全に暮らすなどと言うことは有りえないと言うことだ。そして、直接爆撃に参加せずとも、それを行う国を支援する国の国民も、常に反撃にさらされるリスクを抱える。
オランド大統領は、パリ同時多発テロの際、はからずも「これは、戦争だ」と言っている。自分たちが先にIS支配地域を爆撃したことは棚に上げ、反撃されて初めて戦争だと大統領自身が気付く。そこには、他国を爆撃しても反撃されることはないだろうから、これは戦争ではないと言う、先進国の国家指導者たちのムシのいい思い込みがあったのではないか。「国民が安全なままに行う戦争」などないことを、フランスやベルギーの事件は示唆している。
今、テロとの戦いを声高に叫ぶ指導者たちは、他国で戦争するだけで自国の平和は守られると、安易な決断をしてしまったことを覆い隠すために言っているように思われる。「テロとの戦い」ではなく、「反撃との戦い」であることを肝に銘ずべきだ。
ひるがえって、日本の政治家はどう思っているのだろうか。アメリカの戦争行為に加勢するだけだから、日本は安全だと勘違いしているのではないだろうか。遥か遠くの地でアメリカが行う戦争行為に加担することが、日本の平和な生活を脅かすことなど、絶対にないと信じてよいのだろうか。
こちらがどう思おうと、相手は「アメリカの仲間」として、「戦争を仕掛けてきた国」とみなし、反撃の対象となって日本が戦争状態に巻き込まれるリスクを抱えることになるのではと不安になる。このリスクを政治家も国民も、もっと見据えるべきである。
どんなに遠くの地域であろうと、戦争を行い、人を殺す国に日本が加担することは、日本の平和が脅かされてでも守るべき価値があるのか、熟慮の上、決断されねばならない。さもなければ、連続爆破事件で大勢の死傷者を出し、非常事態宣言が発動されてデモや集会が禁止され、重苦しい生活を送るようになってから、初めて後悔することになりかねない。
【平野 忠和】
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