山口FG社長交代～その裏に潜む相談役の影

　山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行の３行を傘下に置く山口フィナンシャルグループ（FG、山口県下関市）は５月13日、福田浩一社長（63）が代表権のない会長に退き、後任に吉村猛取締役（56）が昇格する人事を発表した。福田氏は、兼務していた山口銀行の頭取も吉村氏と交代し、山口FGと同様に、代表権のない取締役会長に就任する。６月29日開催予定の株主総会と、その後に開催される臨時取締役会で正式決定する。
　また、山口FGでナンバー２、ナンバー３の地位を占めていた加藤敏雄専務（69）、野坂文雄専務（67）も退任することが決まった。
　やる気満々だった福田浩一社長を代表権のない会長に追いやったのは、山口銀行相談役の田中耕三氏（90）ではないかとの噂が、巷に広がっている。

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６月６日午前８時半、専属車到着

　田中氏は、1990年に山口銀行専務取締役営業本部長に就任。２年後の92年６月に、伊村光頭取の後を受けて頭取に就任。頭取を10年間務めた後、2002年６月に取締役会長ではなく相談役となり、田原鐵之助頭取が誕生。しかし、田原頭取が自分の意に沿わないことから、２年後の04年５月21日の臨時決算取締役会議で、田原頭取の罷免を画策した。
　このような、今から12年前にクーデターにより繰り広げられた山口銀行の「頭取交代劇」だが、それをモデルに書かれたのが、「実録頭取交替」（浜崎裕治著/講談社）である。

　ある事情通は、「頭取交代劇を主導した甲羅万蔵相談役。その甲羅万蔵の『甲』には、田と中が組み合わされており、また甲羅のコウと万蔵のゾウから『田中耕三』の名が連想され、作者であり主人公である堀部正道の深い思いが感じられる」と語る。

　山口FGや山口銀行の取締役でもない相談役の田中耕三氏だが、山口銀行本店６階の役員室では、福田頭取より広い個室をあてがわれているという。
　きょう６日（月）も、下関市内の広大な社宅前に、午前８時半ちょうどに専属の運転手が専用車でお迎えにあがっており、“影の実力者”田中耕三氏は、今も健在だ。

【データ・マックス特別取材班】