異色の金融再編、山口FG設立の影にいる90歳相談役(4)
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2004年5月の頭取交替の後も田中耕三相談役の“院政”は続いている。そのことをあらためて感じさせたのが、今年の6月29日付で行われる山口FGの人事異動だ。
トップ人事にちらつく田中氏の影
山口FGが5月13日に発表した6月29日付の人事は、福田浩一社長(63)が代表権のない会長(非常勤)に退き、後任に吉村猛取締役(56)が昇格するというものだった。福田氏は、兼務していた山口銀行の頭取も吉村氏と交代し、山口FGと同様に代表権のない取締役会長に就任する。
また、山口FGでナンバー2、ナンバー3の地位を占めていた加藤敏雄専務(69)、野坂文雄専務(67)も退任することが決まった。両氏はともに04年5月の頭取交替で、クーデターの実行部隊となった守旧派7士。加藤氏は北九州銀行、野坂氏はもみじ銀行の、それぞれ代表権のない取締役会長に就く。
「続投にやる気を見せていた福田社長を、代表権のない会長に追いやったのは、田中相談役ではないかとの噂がある。ある一件で、田中相談役まで裁判で訴えられてしまったことが、腹に据えかねたようだ」(OB)。
その一件とは、一般社団法人 下関ゴルフ倶楽部において、理事の特権として半額料金(9,134円のところを4,578円)でプレーしていた経営陣に対し、一部の会員が、支払いを免れた分約300万円の返還を求めて訴えた社員代表訴訟(14年10月15日に提起)である。田中前理事長、福田現理事長・前・現キャプテンの4名が半額プレーにより訴えられている。下関ゴルフ倶楽部の赤字経営を立て直すために8万円の年会費を値上げするという方針が打ち出され、会員からブーイングがあがっていたなかで半額プレー問題は発覚した。現在、世間を騒がしている舛添要一東京都知事の実にせこい公私混同問題に通じるものを感じるが、自分まで訴えられていることで、会員の反発を招いた現理事長の福田氏に田中氏が怒りの矛先を向けたことは十分に考えられる。
山口銀行のOB会「清交会」でも田中氏と福田氏の不和を感じさせる一幕があった。「田中相談役にとって、自分の影響力を福田頭取に見せる良いチャンスが清交会だ。それを嫌ったのか。福田頭取は4月25日の地銀協(東京都千代田区)の会合の後、急遽、熊本地震による熊本入りを優先して清交会を欠席した。一般会員からは、『清交会を馬鹿にしている』との声が上がったが、福田頭取としては、腰が曲がり、老いが隠せない田中相談役であっても、その影響力を見せつけられるのが面白くなかった、というのが本音ではないだろうか」(OB)。
ちなみに、「清交会」の会長としてOBを束ねる末廣馨氏と、同会副会長で山口FGの連結子会社・ワイエムリース(株)社長の西原克彦氏も守旧派7士のメンバーである。
(つづく)
【山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
(株)山口フィナンシャルグループ
代 表:福田 浩一
所在地:山口県下関市竹崎町4-2-36
設 立:2006年10月
資本金:500億円
経常収益:(16/3連結)1,655億400万円関連キーワード
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