【読者ご意見】天皇生前退位の政治利用への危惧
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読者の平野忠和様からいただいたご意見メールを紹介いたします。
今朝(7月14日)の新聞はどこも天皇陛下が、生前退位のご意向を皇族方に伝えていたことが大きく報じている。しかし、記事をよく読むと、すでに数年前から周囲に漏らしておられたそうである。なぜ、この時期に大きく報道されるようになったのかと素朴な疑問が起こる。
身内の中でのプライベートな話ではなく、国家の制度に関する意見である。このような話が大きく新聞などで報じられるように宮内庁関係者が働きかけたと言うことは、すでに政権としてその方向でのプロセスが固まっていると解釈するのが妥当であろう。つまり、政権は、この問題を政治的に利用できる機会をうかがい、満を持して今回の報道になったのではないかと考えるのはうがちすぎだろうか。
そうとすれば、何を意図してこの時期の発表となったのか。ここで気になるのが、政権が参議院選挙の争点から避けて通ってきた憲法改正論議である。今回の事案は皇室典範と言う、法律で定められた内容の変更で済むはずのことなのだが、この件を含め、天皇制に関する憲法規定を見直す形で、憲法改正の必要性を国民にアピールする意図があるのではないか。
憲法7条の国事行為の中には、わざわざ天皇を関わらせなくてもよさそうなものもあり、生前退位規定と抱き合わせで改憲されそうな条文は、探せば何とでもなりそうである。ご高齢の天皇のご意向を尊重することを前面に出し、それに何らかの現行規定の改編を抱き合わせて、この件を無理矢理憲法改正の形で提案する。
こうして国民の改憲への抵抗を和らげておいて一度改憲を経験させる。そののち本来意図した本丸の部分の憲法改正に取り掛かるのではなかろうか。天皇のお気持ちを尊重するという建前を前面に出しながら、その実、本音では生前退位を利用して、最終的には平和憲法を骨抜きにする改憲をやり遂げる道筋を敷くつもりではないのか、との危惧が、私の杞憂に終わることを願う。
【平野 忠和】
貴重なご意見ありがとうございました。
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