2024年11月29日( 金 )

阪神淡路大震災から22年、教訓は生きたか

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akari2 まだ夜明け前の神戸と大阪の街を揺るがし、発生した広域火災で6,000を超える生命を奪った阪神淡路大震災から、1月17日で22年になる。その年に生まれた子どもが大学を卒業するほどの時間が流れたことになる。

 この震災を受けて、さまざまな分野で地震対策がとられ、また法的に義務付けられた。たとえば建設省(現・国土交通省)はこの年の5月31日に「建築物の構造耐力上の安全確保に係る措置について」(建設省住指発176号)とする通達を発し、以下のような項目について建造物の耐震強度を高めるよう指示を出した。

・土台の締結方法
・筋交い及び構造耐力上主要な部分である継手又は仕口の緊結方法
・軽量形鋼の厚さの規定
・冷間成形角形鋼管の品質
・溶接部の品質確保
・コンクリート工事の適正化
・地震力に対する基礎の設計

 これ以外にも、耐震改修促進法の制定、建築基準法の改正など法制度の面では地震への備えが進んだ。とはいえ、熊本地震では耐震補強済みの小中学校校舎が破損し、避難所として身を寄せていた市民が移動を迫られる事態も起きていた。耐震工事が済んでいれば万全、とはいえないのが現実だ。

 阪神淡路大震災を期に法整備は進んだが、教訓とできずにいまだ積み残しているものがある。それは、「ここでは地震は起きないはず」という油断だ。阪神淡路大震災に至るまで近畿地方は大きな地震がなく、「まさか」という声が多く聞かれた。そしてこの状況は、16年に発生した熊本地震とまったく同じである。被災した熊本市民に取材すると、ほぼ全員が「まさか熊本でこんな地震が」と声をそろえた。東日本大震災後に転居してきた移住者からは、ため息交じりに「また地震に遭ってしまうとは」という声が聞かれた。

 日本列島は火山列島であり、地質活動が活発な土地柄である。「未知の活断層による地震」が起きることも多い。南海トラフによる巨大地震の危険性が長く警告されている東海地方では、地域ぐるみ・学校ぐるみの避難訓練が日常的に行われているが、そろそろ全国でも踏襲するべきではないか。日本列島に「地震安全地帯」はないのだから。

【深水 央】

 

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