福岡市屋台公募、議事録から消えた？書類審査の代筆容認発言

屋台

2017年2月3日 16:14

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　昨年秋に福岡市が実施した屋台公募において、2016年８月24日に開かれた第１回の選定委員会（選定委）の議事録に、市のホームページで一般に公開されているものと、情報公開請求によって公開されたものとの間に公開内容の差があることが判明。一般に公開された議事録からは、審査書類の「代筆」をめぐる議論が消されていた。

情報公開に差？非公開部分をまるごと消去

　昨年秋に実施され、応募者の３分の２（108人中72人）が落選した屋台公募の第１次審査。応募者が提出した営業計画書などの書類は、屋台の名前のほか、「個人が特定できるような部分を黒塗りして、伏せ字をしたうえで」（第２回選定委員会より一部抜粋）で審査部会委員に渡されたという。それは、応募した営業中の屋台について、書類審査の担当委員が実際に店に行き、確認することができない完全なペーパーテスト（詳細はコチラ）であった。

約３ページ分の分量を非公開（消去）した一般議事録（下線はNetIB編集部）
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　筆者が行った情報公開請求を受けて公開された第１回選定委員会の議事録（情報公開議事録）は、Ａ４サイズ36行（１行38文字程度）で30ページ。一方、市ホームページで一般に公開されていた議事録（一般議事録）は、サイズ・行数・文字数は同じだが22ページとなっている。この８ページもの差が生じた理由は非公開とする手法の違いにあった。情報公開議事録の非公開部分は黒塗りだが、一般議事録は、「審査（または法人等事業情報）にあたるため非公開」と付記し、非公開部分をまるごと消去。どれほどの分量が非公開とされたのか、見た目ではまったくわからなくなっている。黒塗りと消去、この非公開の方法の違いについて、屋台公募担当のにぎわい振興課は取材に対し、「市ホームページの分は、たくさんの市民の方が見られるため、見やすいように配慮している」（同課長）と説明。どうも腑に落ちない。

　さらに、一般議事録では非公開とされた内容が、情報公開議事録では公開されていた。筆者が注目したのは、一般議事録の18ページに「【以降，審査に関する内容のため，非公開】」として消去されていた部分だ。情報公開議事録と照らし合わせると、そのなかには、現在、NetIB-NEWSで問題視している第１次選定の書類審査に関する議論（約２ページ分）が含まれていたのである。

替え玉受験アリのペーパーテストで３分の２が落選

　飲食店の重要な要素である“味”や営業の実態・計画の実現性が計り知れない書類審査。やはり、というか、選定委員の間にも、はたして、まともな審査ができるのかという不安が広がっていたようだ。情報公開議事録によると、書類審査をめぐる議論では、委員から、「文章が上手な人は全体が有利ではないかな」「テスト結果がいいかどうかというよりも、実際にできるのか」「代筆で書いてもらう人も出てくるんじゃないですか」などの疑問が呈されていた。

一般議事録では赤下線部が非公開（消去）、青下線が公開部分（下線はNetIB編集部）
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　こうした疑問に対し、選定委員長から話を振られた事務局は、「代筆されるかということもあると思います。その人の思いが入っているかどうかは、面接の時に、しっかりと審査をしないといけないと考えております」と回答していた。市側が代筆の可能性を認め、面接による第２次審査の重要性を強調した形。屋台公募の応募資格は、個人のみ（法人不可）。つまり、替え玉受験アリのペーパーテストで、応募者の３分の２（計72人、営業中の屋台12軒含む）が落選したということになる。

　気になるのは、この代筆に関する事務局の発言が、発言者を示す表記（事務局）をまたぐ形で、一般議事録から消去されているという点だ。一般議事録を読み、残された「委員が言われました」の前に、別の内容が含まれていたと誰がわかるだろうか。なぜ、（事務局）の後に、あらためて「●●●…（審査に関する内容のため，非公開）」としなかったのか。“非公開ではなく、存在自体が消された”といっても過言ではないだろう。この点について、市担当課長は「確認して返答する」とコメント。そもそも、公開される内容に違いがあること自体が問題であるが、２つの議事録（元は同じ）によって隠ぺい疑惑が浮上したと言える。

【山下　康太】