2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(3)

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 【別表】は2017年3月期 第三四半期(16年4月1日~16年12月31日)の経常利益の減益率ワースト順位表である。

2.経常利益について

この表から見えるもの
◆グループ(連結決算修正後)で見ると、減益率第1位はふくおかFGで前年比▲31.4%(▲180億円)の394億円。額としてはトップの座は維持している。(以下前年比を省略する)

第二位は九州FGの▲17.6%(▲41億円)で192億円。第三位は西日本FHの▲14.9%(▲55億円)で315億円。3グループとも、「マイナス金利政策」の影響を受けているが、なかでもふくおかFGがその直撃を受けた格好だ。

◆銀行別で見ると、減益率ワースト第1位は熊本銀行で▲82.8%(▲49億円)の10億円。熊本地震がダブルパンチとして加わり、8割を超える大幅な減益となっている。

・第2位は宮崎太陽銀行の▲61.0%(▲37億円)で23.8億円。第3位は福岡中央銀行の▲50.8%(▲6.7億円)で6.5億円。第4位は筑邦銀行の▲47.1%(▲10.5億円)で11.8億円とほぼ半減。第5位は南日本銀行の▲42.4%(▲18.3億円)で24億円となっている。

・以下第6位は肥後銀行の▲33.8%(▲60億円)で119億円。第7位は佐賀共栄銀行の▲30.2%(▲2.5億円)で5.7億円。第8位は大分銀行の▲30.7%(▲39億円)で89億円。第9位は長崎銀行の▲30.2%(▲1.8億円)で4.1億円。ここまでが前年比マイナス30%台となっているが、佐賀共栄銀行、長崎銀行の2行とも減益率だけでなく減益額も深刻な状況が読み取れる。

・第10位は宮崎銀行の▲25.5%(▲27億円)で95億円。第11位は鹿児島銀行の▲19.0%(▲31億円)で135億円。第12位は福岡銀行の▲16.9%(▲86億円)で426億円。この3行は90億円以上の経常利益を上げてはいるものの、マイナス金利の影響は深刻だと言えよう。
・第13位は親和銀行の▲15.8%(▲12億円)で65億円。第14位は十八銀行の▲7.5%(▲6億円)で77億円。この14行までが前年比マイナスとなっている。

増収の西日本シティ銀行本店

・第15位の西日本シティ銀行は前年比+4.3%(13億円増)の331億円。次が豊和銀行で+21.0%(1.3億円増)の7.9億円。収益率トップは山口FG傘下の北九州銀行の+25.7%(5.9億円増)で29億円。経常利益がプラスとなっているのは、九州地銀18行のうち、わずか3行だけとなっている。
 日銀の黒田総裁は昨年1月29日、2%のインフレ目標達成のために、「マイナス金利政策」の導入を発表したが、今やその「金利政策」が九州地銀にとっては大きな重しとなっているようだ。
 後述するが、日銀が超金融緩和策を掲げても「笛吹けど踊らず」で、貸出金が前期比マイナスの銀行は4行もあるのだ。この経常利益ワースト順位表は、もはや九州地銀の金融再編は避けて通れない状況であることを物語っているのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 
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