2024年12月25日( 水 )

九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(4)

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 【別表】は2017年3月期 第3四半期(2016年4月1日~12月31日)の当期純利益の順位表である。既報の経常収益・経常利益の順位表とともに検証していく。

3.第3四半期の当期純利益について

◆グループの第3四半期当期純利益(連結決算修正後)を見ると、第1位はふくおかFGで前年比▲111億円(前年比▲30.4%)の253億円。(以下前年比を省略する)

・第2位は西日本FHで▲26億円(▲10.9%)の217億円。第3位は九州FGで ▲1,081億円(▲87.7%)の132億円。大きく減少したのは経営統合に伴う負ののれん発生益884億円の特別利益の計上に伴う特殊要因によるもの。
 この計数を見れば、九州FGは今後、ふくおかFGや西日本FHに伍していくためには、他行との経営統合を進める時期に来ていると言えそうだ。

◆銀行別にみると、第1位は福岡銀行で▲42億円(▲12.1%)の308億円。第2位は西日本シティ銀行で+39億円(+18.1%)の255億円。上位5行でプラスなのは西日本シティ銀行だけだが、福岡銀行とはまだ距離があるように見える。

・第3位は鹿児島銀行が肥後銀行を抜いて▲24億円(▲21.3%)の90億円。第4位は肥後銀行で前年比▲36億円(▲30.2%)の84億円となっており、グループ内で鹿児島銀行の発言力が増すことになりそうだ。

・第5位は大分銀行で▲20億円(▲23.2%)の66億円。第6位は宮崎銀行で▲15億円(▲21.3%)の64億円。宮崎銀行と大分銀行は7億円の差だったが、今年は2.5億円となっており、逆転も予想される。

・日銀が昨年1月29日に、「マイナス金利政策」を導入。そのため九州地銀の多くは減益となっているが、増益の銀行もある。大きく増収しているのは豊和銀行で+4億円(+144.4%)の7.4億円。他に増益となっているのは西日本シティ銀行、十八銀行、佐賀銀行、北九州銀行の計5行。残り13行は減益となっている。特に目に付くのは熊本銀行で▲43億円(▲94.8%)の2億円と大きく減益となっている。熊本地震の影響が大きいと見られるが、収益基盤の弱さを露呈したように
も見える。

まとめ

 九州地銀18行のうち、第一地銀は11行。第二地銀は7行。このうちグループに属している第一地銀は、福岡・西日本シティ・鹿児島・肥後・親和・北九州・(十八)銀行の7行で、単独行は大分・宮崎・佐賀・筑邦銀行の4行。またグループに属している第二地銀は、豊和・福岡中央・長崎・熊本銀行の4行。単独行は宮崎太陽、南日本、佐賀共栄銀行の3行。

 このうち第一地銀の筑邦銀行は1952年に設立された、いわゆる戦後銀行の1つであり、第一地銀に属しているものの、経常利益・経常収益などの財務基盤は第二地銀クラスといえる。
 結論から言えば、九州地銀18行にとって更に厳しい収益環境が続くことが予想されており、単独7行の2017年3月期 第3四半期の当期純利益こそが、今後の金融再編を予想する指標なのかもしれない。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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