果敢なる海外への挑戦で成長力を高めた「世界のHIRATA」(4)
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平田機工(株)
生産システムおよび産業用ロボットの製造・販売を手がけ、「世界の工場をつくる工場」と呼ばれる平田機工(株)。同社は、中興の祖である2代目社長・平田耕也(やすなり)氏のもと、松下電器産業やアメリカのGMといった一流企業を相手に積極果敢に営業を仕掛け、受注を勝ち取っていく。より高いハードルへの挑戦は技術力の向上にもつながり、世界で最も品質に厳しいトヨタから、その重要な生産ラインを任されるまでの企業になった。あえて厳しい環境に身を置くことで、成長力を高めたといえるだろう。
強固な財務基盤
所在地別の売上高を見ると、国内および北米で売上高を伸ばしている様子がうかがえる。国内では前期比157.4%増の665億8,598万円。北米では前期比195.3%増の69億9,539万円であった。EVや自動運転技術の進歩と普及へ向けた、北米自動車メーカーの活性化を受けて、同社の好調はしばらく続くだろう。18年3月期の連結業績予想は、売上高900億円、営業利益90億円、経常利益88億円、親会社株主に帰属する当期純利益60億円である。
国内外における幅広い事業展開と最新技術に追随した技術開発は、堅調な業績推移によって築き上げられた強固な財務基盤によって支えられている。17年3月期の時点で流動比率146.4%、当座比率113.5%と支払能力に問題は見られない。
今年6月15日、同社株式は、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から同取引所市場第一部に市場変更。一部上場企業として信用をさらに高めている。
18年3月期第2四半期では、6月14日付で公募による自社株100万株の処分を実施。7月12日付で、みずほ証券(株)を引受先とした第三者割当による自己株式23万7,800株の処分を行い、これらの結果、資本剰余金は118億7,204万円増加。四半期連結キャッシュ・フローにおける現金および現金同等物の残高は153億3,824万円(18年3月期末よりも76億6,948万円増)となった。同社は、近く本社併設の工場の建替えを17年11月から22年3月までに行う予定。この建替えにかかる費用70億円は上記の自己株式処分で得た資金で賄うため、18年3月期における財務内容は、17年3月期時点の状況に近くなるものと思われる。
ニーズに対応した開発
ニーズに対応した新商品の研究開発にも意欲的だ。7月14日に、中国子会社における産業用ロボットの生産・販売開始を発表。同子会社での調達、品質検査、生産・販売などのすべてが対応可能となり、コストダウンとリードタイムの短縮から中国市場の競争力が高まったとしている。
9月4日には、有機EL・液晶パネル用の新型レーザーパネル切断システムの開発および販売開始を発表。価格は1台2億5,000万円、生産台数は年間50台。スマートフォンのベゼルレス化(外枠部分を可能な限り狭くすること)に対応する同システムは、すでに中国の大手液晶メーカーから複数台の受注を得ているという。
さらに10月19日、(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)とのビジネス協業の開始を明らかにした。IIJのIoTサービスや産業用ロボットなどを活用し、モノづくり現場における生産管理の自動化と最適化を通して、作業プロセスの改善を行うことのできる生産環境「スマートファクトリー」を目指していく。平田機工の生産設備にIIJのIoTサービスが組み込まれることで、ハードウェア故障の予兆検知による予防処置や予防保全などが実現されるほか、リモートメンテナンス、世界の工場の遠隔監視などが実現されるという。この新サービスは18年夏から提供開始を予定している。
(つづく)
【山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
代 表:平田 雄一郎
所在地:熊本市北区植木町一木111
設 立:1951年12月
資本金:26億3,396万円
売上高:(17/3連結)805億4,236万円関連キーワード
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