2024年12月21日( 土 )

口癖は「訴える」 公人としての自覚ゼロの和田政宗議員~安倍政権を支えるトホホ議員

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 国会議員は選挙で選ばれ、「選挙区のため」ではなくすべての国民のために政治活動を行う、極めて公的な存在だ。1人の人間というよりは、国民の信託を受けた「民意の具現化」というべきで、当然、その言動は民意たるかどうかの厳しい視線に晒されることになる。国民は、伊達や酔狂で2,000万円以上もの歳費を払っているわけではないのだ。

 和田政宗参議院議員の言動が物議を醸している。和田議員はNHKのアナウンサーを経て、2013年参議院選挙宮城県選挙区で当選した1期目。みんなの党から出馬したが17年に自民党入りし、現在は党の広報副本部長を務めている。

 一躍、国民に名が知られるようになったのは、今月19日参院予算委員会での質問がきっかけだろう。決裁文書の改ざん問題で釈明に追われていた太田充理財局長に対して、和田議員は太田氏が民主党政権時代に野田(佳彦)総理の秘書官を務めていたことをあげたうえで「安倍政権をおとしめるために、意図的に変な答弁をしているのではないか」と質問したのだ。これに対して、太田理財局長は「それはいくらなんでも」と気色ばみ、野党の抗議もあって和田議員の発言の一部が議事録から削除された。

 その模様は複数のテレビ番組で取り上げられ、フジ系列『バイキング』では司会の坂上忍が和田議員を指して「コイツなに言ってんの?」などと発言、それをうけて和田議員は「本日のフジ『バイキング』などで、スタッフ、家族がメンタル面で大分大変なことになっています」などとツイートしていた。26日には、同番組をBPO(放送倫理・番組向上機構)に申し立て、法的手段を含めて弁護士と協議する、とも。

 28日には自身を取り上げた週刊誌報道をTwitterで批判し、「週刊文春の記事。『和田政宗 得意技は告げ口、弱い者イジメ』とのタイトル、中刷りは、本文中でも根拠が示されず名誉棄損。刑事告訴と民事訴訟を行うべく準備に入った」などとしている。

 

 本稿では、和田議員の思想や立場、国会での発言内容の評価はひとまず置く。見過ごせないのは、すぐに「法的手段」をちらつかせる、弾圧体質と言ってもいい狭量さだ。アナウンサー出身でマスコミの影響力を知っているからこそ、ちょっとした報道に過敏に反応するのだろうが、冒頭述べたように国会議員とはそもそも「文句を言われるのが仕事」なのだ。さらに言えば、国会議員は強大な権力や調査権を持ち、発言の場も保証されている。週刊誌を訴えるより先に、まずはきちんと説明責任を果たしていくことが先だろう。週刊誌に何か書かれた程度ですぐに「刑事告訴と民事訴訟」だの「法的手段」だのといった脅し文句が口をついて出るとすれば、公人としての自覚に欠けると批判されてもしかたあるまい。

 

 

 実際、古参の国会議員なら、良くも悪くも「叩かれてナンボ」と鷹揚に構えているのが普通だ。もし、和田議員が「自分を褒め称える記事しか認めない」のであれば、それは心得違いだ。即刻、議員バッジをはずすことをお勧めする。

 

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