2024年11月23日( 土 )

井筒屋が3店舗閉鎖~厳しさ増すデパート業界(2)

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2.貸借対照表の推移について  【表2】を見ていただきたい。

<この表から見えるもの>
◆13/2月期の短期貸出金が前期比+281億1,200万円の302億2,500万円と大幅に増加しているのがわかる。

・経営再建のため返済を猶予されていた金融機関17行からの借入残高約300億円を山口フィナンシャルグループ(山口FG、山口県下関市)傘下の3行が肩代わり。3行からの短期借入金300億円の内訳は、山口銀行115億円(他行肩代わり資金)、もみじ銀行50億円(他行肩代わり資金)、北九州銀行135億円(既存借入)。

 山口銀行から115億円、もみじ銀行から50億円の合計165億円を他行肩代わり資金として調達。従来の主要取引行であったみずほ銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行などからの借入金全額を2月末までに返済したからだ。

◆影山英雄社長は、2013年4月12日、13/2月期の決算を発表した記者会見で、「金融機関と約束した業績目標数字を大幅にクリアし、「健康体に戻ったとの自負」をもって交渉に当たったが、金融機関との調整がうまくいかなかった。そのため山口FGグループに全面肩代わりを引き受けていただいた」と語った。

<山口FGグループに一本化した大きな理由について>
◆山口FGが他行融資を全面肩代わりした理由は5年半前に遡る。2007年9月、井筒屋は山口FGの要請を受けて、同行が整理回収機構の企業再編ファンド機能を活用して63億円の金融支援を行っていた「ちまきや」と業務提携。執行役員1人を含む幹部3人を派遣し経営改善策を模索したが、地方百貨店が単独で経営しても商品を充実させることが困難で、経営改善が見込めないことから、わずか2カ月後の11月14日、山口銀行の要請を受け入れて「ちまきや」を買収。

◆もともと井筒屋本体の経営が厳しい状況のなか、ちまきやを買収したことを受け、主力行の一角であるみずほ銀行・福岡銀行・西日本シティ銀行は態度を硬化させていた。

・また山口井筒屋が借入金全額を山口銀行から調達したことから、井筒屋グループの融資シェアは山口FGがトップとなり、協調融資の足並みが乱れる要因となった。さらに、「ちまきや」を引き受けた見返りに井筒屋のカード発行会社である(株)井筒屋ウィズカードを山口FGが引き受けたことも、各行が一層不信感を募らせる要因となった。

◆井筒屋は旧そごう店跡へ出店などにより投資負担が重なって経営不振となっていた。そのため、2010年から返済期限を延長する金融支援を受けていた。しかし井筒屋が山口FGとの関係を強めていったことから、山口FGを除く取引行の間からは、2014年度からスタートする3カ年の中期経営計画や、今後の返済条件に対する不満や不良債権の減損処理を急ぐよう求めるなど不協和音が表面化していた。

◆山口FGは、井筒屋が人員削減や給与カットなどの合理化などにより、対象となる銀行借入が367億円から13年2月期末で約300億円に圧縮していたことが全面肩代わりする大きなチャンスと映り、双方の思惑が一致したようだ。

◆14/2月期まで駐車場を管理していた(株)エビスは持分法適用関連会社だったが、15/2月期に吸収合併し完全子会社にしたため、長期貸付金は前期比▲104億3,100万円の4億3200万円となっている。

◆18/2月期の借入金合計は前期比▲17億9,200万円の232億円。長短借入金は毎期減少してきているものの、3店の閉店で売上高が1/3も減少するため、有利子負債比率は大きく増加することになりそうだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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