2024年11月29日( 金 )

冒険投資家ジム・ロジャーズの中国戦略(後編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年11月16日付の記事を紹介する。


 では、そんな中国と関税・通商戦争を辞さない構えを見せるアメリカの将来はどうだろうか。ロジャーズ氏に言わせれば、「アメリカに肩入れするのは愚か」ということになる。なぜか。答えは明確だ。「日本は世界最大の債権国です。アメリカはその反対で、世界最悪の債務国、いわゆる経済破綻同然の借金まみれ。日本政府がアメリカ国債を律儀に買い入れていますが、完全に間違っています。ドルを買い支えたり、アメリカ国債を買い増したりするくらいなら、中国に投資すべきです。日本は中国経済の発展や調整の過程で大儲けできるチャンスがいくらでもあります。実に恵まれたポジションにいることは間違いありません。中国脅威論や中国崩壊シナリオをもっともらしく唱える人々もいますが、中国に行ってみて下さい。そんな時代遅れの見方は氷解するでしょう」。

 アメリカの限界を見据えている点ではソロス氏と相通じるものがある。とはいえ、昨今話題の米中の貿易摩擦が第3次世界大戦に発展する可能性については、ロジャーズ氏は即座に否定した。曰く「中国人は賢いですよ。アメリカと事を構えるようなバカなことはしないでしょう。少なくとも今後20年程度はね。これまで一人っ子政策を続けてきたため、戦争ができない国になっているからです。何しろ、どの家も基本的には子どもは1人だけ。大事な1人息子を海外の戦場に送るようなことになれば、それこそ革命が起こります」。

 中国人のメンタリティーを十二分に把握した発言であろう。加えて、同氏曰く「関税の掛け合いや経済制裁の応酬ほど馬鹿げたことはない。過去の歴史を紐解くまでもなく、そうした対立は双方にとってマイナスの結果しかもたらさない」。トランプ大統領と習近平国家主席が耳を傾けてくれればよいのだが。

 さて、ロジャーズ氏はこれから金融の世界に挑戦しようと考えている人々へのアドバイスも語ってくれた。「自分が何をしようとしているのか、分からない時には、何もするな」。これがロジャーズ氏のアドバイスだ。これはソロス氏にも共通すること。ソロス氏曰く「成功するには気分転換が欠かせない。何もしない時間も貴重だ。忍耐力を養うことになる」。

 それでは英気を養った後、市場を理解するためには何をすればいいのか。自分や家族、そして会社や組織を守るのはどうすればいいのか。ソロス氏とロジャーズ氏が口をそろえるのは、「読むこと」の重要性である。もちろん情報収集と称して単に本やネットを漁るということではない。集中力をもって情報源と向き合うことが大事ということだ。

 勝負をかけようとする、狙った世界で定評のある文献は当然だが、同時にマーケットに影響を与えるような一般読者がよく目を通すメディアのチェックも重要となる。こうした情報収集と分析を重ねていくと、あるトレンドが浮かび上がる。そこを押さえた上で、そうしたトレンドの牽引車となる経営者や研究者を訪ね、自分の五感で、投資に値するかどうかの最終判断を下すというのである。

※続きは11月16日のメルマガ版「冒険投資家ジム・ロジャーズの中国戦略(後編)」で。


著者:浜田和幸
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