クレジットカードのさらなる進化(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
EUではカードが100%IC化されている反面、米国や日本では普及が遅れている。その結果、クレジットカードの不正利用の47%がアメリカで発生しており、被害額は年間3,600億円に上っているという。しかし、クレジットカードがスマホに入ってしまえば、カード発行費用などが不要になるので、アップルペイなどが登場しているわけだ。
中国のようにクレジットカード自体が普及していない国では、QRコードを活用した支払い方法が定着している。このように世界的にキャッシュレス化が進んでいる中、クレジットカードは消えていくという主張も一部にある。はたして今後、どう推移していくのだろうか。
韓国の(株)BTBL(代表取締役・李承晋)は、今年1月にラスベガスで開催されたCESで、セキュリティを強化した新しいカードを発表し、注目されている。
現在のクレジットカードは紛失した場合、他人に使用される不正利用が問題になっている。もちろん、そのような被害を最小限にするため、カード発行会社では、保険を用意するなど、さまざまな対策を行っている。とくに、最近のクレジットカードにはスイカのような機能が追加されている場合が多く、カードを落とすと、すぐ被害につながってしまう。
セキュリティと利便性を訴え、アップルペイなどが普及しているが、スマホがハッキングされてしまう危険性があるので、それも安全な方法とはいえない。同社では、カードに指紋認証とOTP(One Time Password:インターネットバンキングなどで本人認証に世界的に使われている方法)機能をいれたカードを開発し、それを発表した。
同社は第3世代の指紋認証技術といわれている超音波センサーの技術をもっている会社である。李社長の説明によると、カードに指紋センサーを搭載したり、液晶表示をさせたりすることが簡単なようで、カード業界にはそのような技術はあまりないという。
同社では、超音波センサーの技術を活用し、センサーを100マイクロメートルという厚さにすることに成功した。これまでの製品は折り曲げテストに落ちていたが、同社の技術はそれをクリアしたという。それだけでなく、コストも指紋センサー実装の大きな課題だったが、大量生産すれば、現実的なコストに抑えられるようになったのも大きな特徴の1つだ。
カードを本人が受領した際に、別の装置なしに指紋登録ができるようになっているのも、差別化ポイントの1つだ。指紋認証をして初めて、ICチップもアクティブ化されるので、このカードの場合、落としても他人が使えないという安心感がある。
李社長は5,6年後にはパスポート、保険証、運転免許証、社員証などが1枚になる電子身分証明書の時代が到来するとしている。その場合、一番求められる機能は、セキュリティ機能だと言い、その際には自社の製品が選ばれるように頑張っていきたいと抱負を語っている。
(了)
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