レオパレス問題・検査員の過失度80%に喝!
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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
レオパレス不正問題に関して、連日報道が続いていますが、この報道内容に対して 私は違和感を覚えます。法的にも現実的にもレオパレス21側に第一義的な責任があることは疑いのない事実です。しかし、一方でそれらの建物はすべて第三者機関による完了検査を受けて合格し、「検査済証」が交付されているのです。不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか。
建物の検査には「中間検査」と「完了検査」があり、中間検査に合格しなければ「完了検査」は受けることができず、当然検査済証が発行されることもありません。最低でも二度にわたる検査が行われたにもかかわらず、界壁などの不法行為が見逃される検査体制とはそもそもいかなるものなのでしょうか。
検査員は行政庁からの天下りが多く、建築関連退職者の再就職先の大口受け皿となっているのが現実です。行政庁の建築関係部署を定年退職した人が何人も民間建築確認審査機関に再就職しており、大半の検査員はそれらの人が占めています。
中間検査の対象工程は確認機関により多少異なりますが、検査時には天井が貼られていない状態なので小屋裏の界壁の有無などは一目で確認できます。仮に中間検査時に界壁が未施工であれば、完了検査時にチェックされるべき項目です。完了時であっても、天井の点検口から小屋裏を覗くことにより、一瞥で界壁の有無は確認できます。防火防音に極めて重要な界壁がチェックされることなく「検査済証」を次々に与えてきた検査員の責任は建物の発注者であるレオパレス21本体と同等に重い、というのが私の認識です。
界壁などの不備が検査段階で早期に指摘されておれば、違反建築が今日の膨大な数に至る前に防ぐことができたと思われます。界壁などの違反カ所を適法に改修する手間と時間と費用を考えると、あえてリスクを犯してまで手抜きを行う建築主はいないはずで、ずさんな検査を長年行ない「検査済証」を発行させてきた検査員は罪深い存在です。
私は、レオパレスを庇う気などは 毛頭ありません。しかし、仮に、検査において検査員が指摘していれば、現在の状態のように炎上することはなく ボヤだけで済み 軌道修正できた筈であり、アパートのオーナーや居住者への被害は最小限に留められたはずです。検査の際に立ち会ったレオパレス側の監理担当建築士も同罪です。言葉を変えれば、「レオパレス21・監理担当建築士・検査員・施工業者」全員の共同不法行為なのです。中間検査や完了検査は、検査を実施した機関に定められた検査手数料を支払って検査を受けているのです。これだけの数の物件の検査が違法にパス?した実績を重ねていれば、レオパレス21の経営陣にとっても、何の違和感(マサカ?)も抱かなかったと考えられます。
今回の事件は、「見かけ倒しの検査員」による過失事件という側面もあります。むしろ 過失というより、素人同然の名ばかりの検査員による犯罪ともいえます。(あえて「意図的」とは申しません) この検査員たちは、今日も どこかの建物の検査に出向いているのです。
また、レオパレス側が 意図的に現場に指示して不正工事に手を染めたとは考え難い行為です。なぜなら、工事ミスを発見されてからの手直し工事ほど「お金と時間のかかる作業」はないのです。これほど割に合わないことはありません。
発覚したことを覚悟して、あえて 手抜き工事をする勇気がある業者はいないと思います。もし、そんなリスクを覚悟して不正を行うとすれば、それは 何らかの理由により 工事期間の短縮を図ったとしか考えられません。仮に、検査において 一度でも不備を指摘されていれば、次からは学習し 二度と間違わなかった筈です。
逆に、検査員から何も指摘されなかったことで、「これで良い」と確信をもったということは考えられます。そうでなければ、あの驚愕の違反件数の多さに説明が付きません。
以上のような状況や背景が存在しているなか、マスコミが「検査員の無責任・過失が招いた事件」と報道しないことに首を傾げざるを得ません。一部のレオパレスのオーナーたちは「レオパレス違法建築被害者の会」を結成し、この問題に取り組んできました。同会は国交省に対し「同社の調査について 国や地方自治体の担当者が立ち会う」など、監視の強化を要請しています。また、「所有者の間にはレオパレス21破綻への不安が根強い」として、問題物件の改修完了までの間 同社に対する低利融資などの支援を金融庁に要望するとともに、「現行の検査態勢が違法建築を許したのであり 国にも責任がある」と、国の責任も追及していく姿勢を示しています。
レオパレスだけでも これだけの違法行為が指摘されています。しかも すべて正規の検査済証を取得しているのです。検査員の過失から招いた事件だとすれば、日本中のほとんどの物件は、同じ状況になっていると考えられます。この違法事案は、過去から現在まで、まかり通ってきた大事件であると考えられるので、日本中の物件を調べれば天文学的な数に上るはずです。ちなみに、私がチェックした数件の案件においても、同じ現象を確認できました。
この不法行為に対しては、「レオパレス21」と「行政機関」が 共同で被害者を救済すべきであると思います。違法行為であることは客観的事実として明白なので、裁判などで争うまでもなく、レオパレス21と行政機関が 迅速に救済策・打開策を講じることを願います。
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