【レオパレス21の施工不備問題】職人座談会 職人が語る現場の事情~問題の裏側に潜むものとは――(4)
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形骸化している検査など業界に蔓延する諸々の問題
――今回のレオパレス21の問題でも、検査したところの責任はもっと問われてもいいと思うのですが・・・。
A 私もそう思いますね。結局のところ、行政関係などのちゃんとした建物では、それなりのきちんとした方がきて検査するのですが、民間企業だと、たとえば大手建設会社を定年退職したような人をアルバイトで雇って、検査に回らせているようなケースが多いです。そうした場合、本来なら検査にはかなりの時間がかかるのですが、高齢ですし、早く帰りたいものだから、「あんたんトコは、だいたいきっちりしとるけん」とか言って、あまり見ずに帰っていくらしいですよ(笑)。とくに木造では結構多いと聞きます。
B また別の問題ですが、検査まで待っていたら工期が間に合わない、ということもあります。そのため、写真だけ撮って先に進めていくケースが、民間では多くあります。最近は、「ボードを剥がして見せろ」といわれるケースもボチボチ出てきていますので、多少は変わってきたのかとは思いますが、検査というのは民間では“ないもの”として、形骸化している現状があります。
C 検査にきている“連中”も、基本的には何が良くて、何が悪いのかがわかっていません。そのため業者側は、「そこを見るなよ、見るなよ・・・」と心のなかで思いながら検査を受けて、無事に終われば「バレなくて良かった」と(笑)。そういった笑い話を聞くこともありますね。
――現場のことをよくわからない設計士が設計を行い、その矛盾を抱えた仕事が回っていって、最後に辻褄が合わないので、末端のところではいろいろと「これでいいだろう」というような処理をされてしまう。さらに検査も形骸化しているので、総スルーするような感じになりますし、仮にそこで不具合を見つけたとしても、「追加の費用をどうするのか」という話になるので、皆が何となくわかっているけれど、知らんふりしておこう、という感じで進んでいくということですね。
B 施工不備の問題に関しては、毎回出てきますが、私はすべて上が黙認したうえで、どこの業者に責任を転嫁しようか――と、結局はそういう話だと思いますよ。以前の旭化成建材(株)による杭データ偽装問題のときもそうでしたが、言われた指示通りにやった施工業者が頭を下げて、一方で、指示した上がなぜ頭を下げないのでしょうか。責任施工という言葉がありますが、では最初にお客さんからお金をもらっているのはいったいどこなのか、という話です。施工したところが何もかも悪いのか、業者側がなぜあそこまで頭を下げてリスクを背負わないといけないのか――。それがまかり通っている日本の業界というものを、今回のレオパレスの問題を1つのきっかけとして、何とか良い方向に正していければいいですね。
――結局のところ、今回のレオパレス21の問題は“氷山の一角”であり、似たような問題はまだまだ眠っている、と。
A 意外と、天井裏をのぞいたら、「えっ!?ウチも?」というようなこともあるかもしれませんね。今まで表に出てきていなかっただけで、これから調査に入ったら新たな問題が出てくるようなことは、まだまだたくさんあるように思います。
(了)
【文・構成:坂田 憲治】関連記事
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