2024年11月24日( 日 )

レオパレス問題 検査機関と特定行政庁の罪(前)

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

 Net-I・B 2019 年2 月14 日付の記事「レオパレス問題・検査員の過失度80%に喝! 」および「審査機関検査員による犯罪行為」において、レオパレス21 の不正な施工もさることながら、指定確認検査機関による中間検査・完了検査がずさんであったため 不正な施工を助長させたことを述べました。この記事に関する反響が大きく、いくつか質問も寄せられているので、今一度 指定確認検査機関による検査の問題点を掘り下げてみたいと思います。

 レオパレスの建築基準法違反については さまざまなコメントや意見があり、レオパレスの組織体質が問われるのは当然ですが、民間企業が利益追求のために違反する例は これまでに枚挙に暇がありません。そのため、国が違反防止のために指定確認検査機関を認可し、国民の安心・安全を守っているはずです。しかし、この指定確認検査機関による検査のずさんさが引き起こした建築基準法違反について 国の責任が問われないのはなぜでしょうか?

 完了検査済証が交付されていれば、オーナーが信用するのは当然です。「完了検査で見えない箇所は検査できない」など行政機関は責任逃れのコメントを発表していますが、検査箇所が見える状態でなければ検査が不可能であるならば、見える状態で検査をしなければ意味がありません。また、これまでに指摘されている箇所はすべて見える所があるはずです。

 図面上、二重張りとなっている天井を一重張りで施工している場合、天井を叩けば直ぐにわかることであるにもかかわらず、そういう確認もしていないほど、ずさんな検査であるならば、完了検査済証を交付することはできないはずです。

 「見えない所は後から写真で確認していた」というコメントがありますが、これまでも 写真を誤魔化した事例があったのに、何1つ改善されていない行政の責任は重いといえます。

 また、外壁関連の耐火の問題については、検査員は「壁のなかが分からない」などと言い訳をしていますが、電気設備のコンセントの取り付け部分を調べれば、壁のなかの仕様が目視できます。もし、規準と違っていれば 内側にもう一枚のボードを貼れば耐火の問題は解決できると思います。

 天井を一重から二重にする補修は、下から もう一枚を貼り付ければ、規準を満たします。天井内の界壁追加工事は、天井懐のなかで、作業ができるような仕様になっていなければ 設備工事の補修ができないので、工事は可能であると思います。天井裏の界壁は天井の仕上げ材と下地材( 軽鉄か木材)の一部を外し、界壁を軽鉄で組む工事をすることは可能です。わざわざ引っ越しをしなくとも、住民に一時的に外出してもらう程度の時間でできるレベルと考えます。

(つづく)

(後)

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