2024年11月23日( 土 )

九州地銀(18行)の19年3月期決算を検証する(2)

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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の19年3月期の当期純利益順位表である。

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〜この表から見えるもの〜

(1)経常収益について

 九州地銀の19年3月期の経常収益合計は前期比▲3億9,900万円と微減の8,125億円だった。

・1位の福岡銀行は前期比+107億の1,827億円(6.2%増)。2位の西日本シティ銀行は前期比▲117億円の1,282億円(▲8.4%)となっており、西日本シティ銀行のマイナス分を福岡銀行がカバーしているように見える。

 九州地銀18行のうち、経常収益が前期比プラスの銀行は6行で、残り12行はマイナスとなっている。

・西日本シティ銀行の前期比▲117億円は、18年3月期に株式等売却益163億円を計上したが、19年3月期は32億円。差額の▲130億円がその主因となっている。

・親和銀行の前期比▲57億円は、18年3月期に貸倒引当金の戻入益33億円を計上したことが要因。

(2)経常利益について

 九州地銀の19年3月期の経常利益合計は前期比▲106億円の1,869億円(▲5.4%)。

・経常収益が前期比マイナスの宮崎銀行の経常利益がプラスとなり、経常収益がプラスだった大分銀行と十八銀行の2行がマイナスとなったため、経常利益がプラスの銀行は1行減って5行で、前期比マイナスの銀行は13行となっている。

(3)当期純利益について

 九州地銀18行の19年3月期の当期純利益合計は前期比▲124億円の1,323億円(前期比▲8.6%)。

・当期純利益が前期比増加および減少した銀行は、経常利益と同じ銀行である。このなかで目に付いたのは第二地銀のなかでただ1行だけ前期比プラスの豊和銀行。前期比+4億7,900万円の11億3,500万円(73.0%増)。その要因は不良債権処理額が前期比▲7億5,600万円の1億6,600万円によるものだった。

・1位は福岡銀行で前期比+98億円の503億円(24.4%増)と大きく増加している。

・2位は西日本シティ銀行で前期比▲117億円の199億円(▲36.9%)と大きく減少している。株式売却益が前期比▲130億円となったことが主因であり、ほぼ実態の計数となっている。2位の座は保っている。

・3位は肥後銀行で前期比+1億8,400万円の124億円(1.5%増)となっている。

・4位は鹿児島銀行で、前期比+10億円の120億円(9.4%増)と、同じ九州FG傘下の肥後銀行に肉薄している。

 当期純利益のシェアを見ると、福岡銀行は前期の27.9%から38.0%と10%を超える増加となっている。西日本シティ銀行のシェアは、前期の21.9%から15.1%に大きく下落している。一方、九州FG傘下の肥後銀行のシェアは9.4%、鹿児島銀行は9.1%で合計18.5%(前期16.1%)となり、長崎銀行の0.2%を加えた西日本FHの15.3%(前期22.3%)を逆転しているのがわかる。

 グループ(FG・FH)の19年3月期の当期純利益1位は、ふくおかFGで前期比+22億円の516億円(4.6%増)となっている。

・2位は山口FGで前期比▲97億円の231億円(▲29.7%)と大きく減少している。

・3位は西日本FHで前期比14億3,200万円の228億円(6.7%増)となっているが、4位の九州FGで前期比+28億700万円の222億円(14.5%増)と、西日本FHに肉薄しているのがわかる。

<まとめ>

日銀のマイナス金利政策によって地方銀行の収益環境は一段と厳しさを増している。19年3月期の九州地銀18行の当期純利益合計は、1,323億円。そのうち、ふくおかFG(十八銀行を含む4行)、西日本FH(2行)、九州FG(2行)、北九州銀行の金融グループ9行の当期純利益は1,096億円で、そのシェアは82.9%。独立系の地銀9行の当期純利益は226億円で、シェアは17.1%しかなく、金融グループが圧倒的に優位な立場を占めている。独立系の銀行は、今まさに、経営統合しないと生きていけない状況に直面しているのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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