相続法改正のポイント(1)自筆証書遺言の要件緩和
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<プロフィール>
岡本 成史(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士/岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。福岡県建設工事紛争審査会会長、経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。平成30年7月に民法の相続法分野が大きく改正されました。その改正項目の1つに、自筆証書遺言の方式が緩和される点があります。今回の改正項目のほとんどは2019年7月1日から施行されますが、「自筆証書遺言の方式緩和」については、先行して2019年(平成31年)1月13日からすでに施行されています。
以下、詳しくご説明していきます。
遺言は、民法で定める方式でなければ有効な遺言とはなりませんが、この民法で定められている方式の1つが、「自筆証書遺言」です。
「自筆証書遺言」は、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに押印するという方法により作成します。「自筆証書遺言」の場合、遺言書の作成自体に費用が掛からず、内容も秘密にできるため、手軽に作成することができるというメリットがあります。
一方で、「その全文」を自書する必要がありますので、本文の部分はもちろん、不動産や複数の預貯金、証券などをまとめた「財産目録」の部分もパソコンで作成したり、他人に書いてもらったりすると無効となり、すべて自分で書く必要がありました。そのため、これまでは、財産の種類が多い場合、財産目録を作成するだけでも大変でした。
しかし、2019年(平成31年)1月13日以降に作成される自筆証書遺言については、パソコンなどで作成した目録やほかの人に作成してもらった目録を添付したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などを目録として添付したりして遺言を作成することができるようになりました。
これによって、自筆証書遺言の作成がかなり楽になることが期待されます。ただし、財産目録を自書せず、パソコンなどにより財産目録を作成する場合には、添付する財産目録の各頁に署名押印することが必要ですので、漏れがないようにご注意ください。
なお、2019年(平成31年)1月12日までに作成された遺言については、改正前の法律が適用され、財産目録の部分も自書しないと無効になります。すでに自筆証書遺言を作成された方については、この自筆証書遺言の要件の緩和は適用されませんので、ご注意ください。
詳細な解説につきましては、弊事務所の相続生前対策サイトをご参照ください。
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