2024年12月24日( 火 )

これから本格化する地銀の経営統合を検証する(4)

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【表1】を見ていただきたい。地銀の金融グループの貸出金残高順位表である。19年7月1日現在、地銀は103行(第一地銀64行、第二地銀39行)となっている。

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~この表から見えるもの~

 地銀は14の金融グループが設立されており、その傘下銀行は30行(第一地銀19行、第二地銀11行)となっている。

 金融グループの貸出金残高1位はふくおかFGで、前期比+7,638億円の12兆9,942億円(6.2%増)。譲渡性預金(NCD)を含む総預金は前期比+2,199億円の14兆2,982億円(1.6%増)。

・2位のコンコルディアFGの貸出金は前期比+2,161億円の12兆6,619億円(1.7%増)。総預金は前期比+4,971億円の16兆1,800億円(3.2%増)。

・貸出金ではふくおかFGがコンコルディアを3,323億円上回っているが、総預金では、コンコルディアFGが1兆8,818億円上回っている。

・今年4月1日、十八銀行はふくおかFGと経営統合し、傘下行となった。そのため十八銀行の貸出金1兆8,851億円を単純に加えると、ふくおかFGの貸出金は14兆8,793億円となり、コンコルディアFGを2兆2,174億円上回る。

 また、ふくおかFGの総預金に十八銀行の2兆5,509億円を加えると、16兆8,491億円となり、コンコルディアFGを逆転し6,691億円上回っている。20年3月期は、ふくおかFGが預貸金とも地銀トップの座を確保するものと見られる。ただ、経営が悪化しているスルガ銀行を救済する銀行の1つに横浜銀行の名も挙がっており、トップの座を予想するのはまだ早計なのかもしれない。

 ふくおかFGの傘下に入った十八銀行は、同じ長崎県に本店を構える親和銀行と20年10月1日に合併を予定しており、新銀行名は十八親和銀行と決定。ふくおかFG傘下の銀行は3行に戻る。

 貸出金3位はめぶきFG(常陽銀行・足利銀行)で、前期比+6,145億円の11兆1,124億円(5.9%増)。総預金は前期比+4,055億円の14兆6,560億円(2.8%増)となっている。

・貸出金4位は関西みらいFG(関西みらい銀行・みなと銀行)で、前期比+6兆6,758億円の9兆923億円(276.3%増)。総預金は前期比+7兆6,101億円の10兆8,927億円(231.8%増)となっている。関西FGに関西みらい銀行(関西アーバン銀行・みなと銀行)が傘下に加わったことによる。

・貸出金5位はほくほくFG(北陸銀行・北海道銀行)で、前期比+1,713億円の8兆3,441億円(2.1%増)。総預金は前期比+2,591億円の11兆4,103億円(2.3%増)となっている。ここまでがベスト5の金融グループとなっている。

 九州の金融グループで見ると、北九州銀行を傘下にもつ山口FGの貸出金は6位で、前期比+2,505億円の7兆4,083億円(3.5%増)。総預金は前期比▲1,250億円の9兆2,307億円(▲1.3%)となっている。

・貸出金7位は西日本FH(西日本シティ銀行・長崎銀行)で、前期比+2,997億円の7兆3,412億円(4.3%増)。総預金は前期比+1,635億円の8兆5,087億円(2.0%増)となっている。貸出金は6位の山口FGとは671億円の差しかなく、このままの勢いを保つようだと、20年3月期には逆転する可能性が高くなっている。

・貸出金8位は九州FG(肥後銀行・鹿児島銀行)で、前期比+4,070億円の6兆8,531億円(6.3%増)。総預金は前期比▲54億円の8兆5,675億円(▲0.1%)となっている。総預金は西日本FHを588億円上回っているが、はたして、結果はどうなるのだろうか。

<まとめ>

【表2を】見ていただきたい。

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~この表から見えるもの~

 地銀103行の貸出金合計は261兆8,753億円。金融グループ傘下行(30行の貸出金は94兆1,899億円で、そのシェアは36.0%(前期比0.7%増)。となっている。

・第一地銀における金融グループ傘下行(19行)のシェアは36.2%(0.8%増)で、第二地銀の金融グループ傘下行(11行)のシェアは35.0%(▲0.4%)となっている。

 貸出金9位の第四北越FG以下の金融グループは、地域銀行として今後も生き残るために経営統合の道を選んだものと推測される。今後展開する経営統合は地銀の覇権を争う大きな金融統合と、地域で生きるための経営統合に二分されるのではないだろうか。いずれにせよ、地銀の経営統合が本格化することは間違いないようだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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