2024年12月22日( 日 )

“人間中心”のAI戦略とブロックチェーンの可能性(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年8月23日付の記事を紹介する。


 わが国の内閣府は昨年、「未来投資戦略2018」を作成し、次世代モビリティとヘルスケア・システムの確立に向けた本格的な取り組みを始めた。世界が注目するように、日本は「課題先進国」として、少子高齢化、地方衰退、社会保障費の拡大による財政悪化、400万社の中小企業の後継者不足、食料・エネルギー問題、頻度と規模の増す自然災害など、さまざまな課題への対応を迫られている。

 そのため、安倍首相も自ら音頭を取って、「未来への投資」戦略を打ち出したわけである。時は折しも「令和」になり、新しい時代に相応しい国家戦略として「Society 5.0」(第4次産業革命)実現への大号令をかけることになった。

 過去の歴史を振り返れば、人類は「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」と段階的な進歩を遂げてきた。そして、次なる時代のカギとなるコンセプトは「超スマートデジタル社会」といえるだろう。要は、「誰もが、いつでもどこでも、安心して、自然と共生しながら、価値を生み出す人間中心社会」を目指そうということに他ならない。

 更には、国際社会との調和という観点も重要視されている。国連が採択した「SDGs」を支援することで、「価値創造」「多様性」「分散」「強靭」「持続可能性・自然共生」といった普遍的で国際的な価値を追求しようとする新たな試みといっても過言ではない。今後、日本が想定する目標は日本発の「Society 5.0」で実証する課題解決ノウハウを世界と共有しようということである。

 経団連でも「多様性を内包した成功のプラットフォーム」を新たな企業価値創造の中心に据えようとの提言をまとめている。その背景には、人口減少で人材や市場の確保に困難が生じると思われる近未来の日本にとっては、多様な国籍と異なる背景の人々が日本で活躍、成功のきっかけを提供することが欠かせないとの危機感が感じられる。と同時に、日本人自身の内なる国際化も求められるようになった。

 これまでの時代とは異なり、新たな未来戦略の目玉は「人間能力の向上」に置かれている。言い換えれば、「頭脳としてのAI」「筋肉としてのロボット」「神経としてのIoT」を合体しようという野心的な発想である。

 具体的には、“人”の場合は、「身体・感覚・創造性の拡張」が目標として掲げられている。“企業”の場合は、「出島」戦略と呼ばれる方針が提唱されている。何かといえば、既存の企業にとっては業態や組織内のプロセスを一気に大きく変えることは容易でないため、会社本体から離れた組織を設け、権限を委譲することでイノベーションを引き起こそうという方策である。江戸時代の長崎の出島になぞらえたものである。

※続きは8月23日のメルマガ版「“人間中心”のAI戦略とブロックチェーンの可能性(前編)」で。


著者:浜田和幸
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