人生100年時代、自分のキャリア・ライフをどう守る(後)
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まだ計画の策定段階であることを差し引いても、国・企業双方の取り組みとも、なんとなくぼんやりしており、目新しい取り組みはないように感じられます。これらの取り組みが必要とわかりつつも、実行する方法も余裕もないから困っている、という企業が多数であり、いまさらという感じが否めません。具体的な策を示さない限り、成功する見込みは低いと見られます。
企業の取り組みにおいては、中途採用者の能力開発に対する機会の創出や、教育などが盛り込まれています。一般的に、企業側は中途採用者に即戦力となる能力を求めるもの。まだ20代や30代前半といった、若手の中途採用ならまだしも、教育・能力開発が必要なレベルの中高年層を採用する、というのは、現段階ではなかなか実現可能性が低いように感じられます。
従業員の高齢化率が高い地方の中小企業ではなおのこと、若手採用による新陳代謝が喫緊の課題。中高年層の中途採用にまで注力する余力は低いと考えられます。
転職や再就職が進むということは、それだけ1つの企業にとどまる人材が少なくなるということでもあります。企業側からすると、ノウハウを蓄積した人材が少なくなり、会社力の低下につながりかねません。労働者側からすると、本当にキャリアアップを目指す転職なら有意義でも、そうでない場合は能力形成の妨げになる可能性があります。「人生100年時代」で80歳まで働かなければならないのに、なんの能力もないまま年を取り、雇用が危うくなるという事態を招きかねないのです。
そういった意味では、国が転職を推すような方針を示すことには疑問すら感じます。またその方策の曖昧さは、企業と労働者にとって余計な混乱を来す可能性すらあります。
結局のところ、いくら時代が変わっても、労働者は何歳になっても企業に必要とされるような能力を自分自身で身に着けていくほか、自分を守る術はないということを覚えておかなければなりません。
(了)
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