2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2020年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する (4)

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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2020年 9月期(中間期)の純資産残高順位表である。
~この表から見えるもの~
(1)純資産残高について
◇金融グループの純資産残高は前期比+2,024億円の2兆1,417億円(10.4%増)と、大幅に増加している。要因は今年4月1日、ふくおかFGと十八銀行が経営統合したことにともなう「負ののれん発生益」を1,174億3,300万円計上したことによる。
・1位はふくおかFGで9,593億円(23.4%増)。2位は九州FGで6,669億円(2.2%増)。3位は西日本FGで5,155億円(1.1%増)。
◇九州地銀18行の純資産残高の順位変動はないが、前年より減少している銀行は西日本シティ、親和、佐賀、北九州、宮崎太陽、筑邦、福岡中央、佐賀共栄銀行の8行。
・1位は福岡銀行で6,833億5,800万円(0.6%増)。
・2位は西日本シティ銀行で5,115億8,200万円(▲1.0%)。
・3位は鹿児島銀行で3,319億100万(3.4%増)。
・4位は肥後銀行3,188億6,600万(3.8%増)。以下、大分、十八、宮崎、親和、佐賀、北九州銀行と続く。10位の北九州銀行までが純資産1,000億円以上の銀行。
◇11位は熊本銀行で、917億5,100万円(2.9%増)。以下、宮崎太陽、南日本、筑邦、豊和、福岡中央銀行。16位の福岡中央銀行までが純資産200億円以上の銀行。
・17位の佐賀共栄銀行は、前年比▲2億2,300万円の150億4,300万円(前年比▲1.5%)。18位の長崎銀行は前年比+1億3,700万円の149億8,600万円(前年比0.9%増)。11位以下のうち、筑邦銀行を除きすべてが第二地銀。第一地銀と比較して一段と厳しい財務体質であることわかる。
(2)総資産残高について
◇金融グループの総資産残高は、前期比+4兆7,551億円の46兆2,357億円(11.5%増)と、大幅に増加。その要因は純資産と同様、十八銀行がふくおかFG傘下行になったことによる。
・1位はふくおかFGで、前期比+4兆289億円の24兆6,160億円(19.6%増)。2位は西日本FGで、10兆9,231億円(4.5%増)。3位は九州FGで10兆6,966億円(2.4%増)。
◇個別銀行18行の総資産残高を見ると、減少している銀行は親和、北九州、南日本、筑邦、豊和、福岡中央銀行の6行。
減少が大きいは親和銀行で、前年比▲2,835億9,500万円(前年比▲9.5%)。
・1位は福岡銀行で、前年比+1兆647億円の17兆4,631億円(前年比6.5%増)。
・2位は西日本シティ銀行で、前年比+4,043億円の10兆6,836億円(前年比3.9%増)で、この2行が10兆円を超えている。
・3位は肥後銀行で、前年比+1,437億円の5兆9,061億円(前年比(2.5%増)。
・4位は鹿児島銀行で、前年比+1,635億8,700万円の4兆7,552億4,500万円(前年比(3.6%増)。以下、大分、十八、宮崎銀行の3行が3兆円台。親和、佐賀、熊本銀行の3行が2兆円台で、北九州銀行が1兆円台となっている。
・12位は南日本銀行。以下、筑邦、宮崎太陽、豊和、福岡中央、長崎銀行と続き、18位の佐賀共栄銀行までの7行が1兆円未満の銀行となっている。
(3)自己資本比率について
◇FG・FHの自己資本比率は、九州FGが11.29%(前期比▲0.28%)でトップ。ふくおかFGは10.86%(前期比1.26%増)。西日本FHは9.45%(前期比▲0.31%)。
◇九州地銀18行の自己資本比率を見ると、一番高いのは山口FGH傘下の北九州銀行で、11.02%(前年比▲0.43%)。以下、十八、肥後、鹿児島、宮崎太陽銀行を加えた5行が10%を超えている。一方、自己資本比率が低いのは、福岡中央銀行で7.25%(前年比▲0.15%)。次が筑邦銀行で7.54%(0.11%増)となっている。
<まとめ>
 九州地銀18行すべて、自己資本比率の国内基準の4.%を上回っており問題はないが、十八銀行がふくおかFGと経営統合したため、FG・FHの傘下行は1行増えて9行。20年3月期の9月期(中間)決算は一段と厳しさを増しており、残る9行が単独で生き残る可能性は、ゼロに近いと言っても過言ではないのではないだろうか。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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