2024年12月24日( 火 )

山口FGと愛媛銀行が業務提携

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 山口県(下関市)に本社がある「山口フィナンシャルグループ(以下、山口FG)」と愛媛県(松山市)に本店がある第二地銀の愛媛銀行は22日、人口減少や地域経済の経営環境が厳しさを増すなか、サービスの向上を図るため、業務提携の契約書を結んだことを発表した。

 両行は瀬戸内海を挟んで立地していることから、提携の名称は「西瀬戸パートナーシップ協定」とした。

 業務提携の内容については、船舶向け融資や地方創生事業のノウハウを共有するといい、具体的には、造船業や海運業向けの融資や個人向けのサービスの拡充など4つの分野で提携するとしている。

(1)法人分野
(2)シップ(造船)ファイナンス分野
(3)リテール分野
(4)地域振興分野

・山口FGは昨年、船舶や自動車産業向け融資を強化するため、モビリティ戦略部やシップファイナンス室を設置しているが、船舶向け融資の「審査ノウハウの蓄積や業界情報の収集体制の整備はこれから」(吉村猛社長)としており、1月中にも実務者レベルの業務提携検討委員会を立ち上げ、分野ごとに4つの委員会を立ち上げ、提携の具体的な内容を協議。5月の連休明けからの実施を目指すとしている。

・一方、同日に記者会見した愛媛銀行の西川義教頭取は、「人口減少が避けられないなか、単独よりも連携したほうが地域の人たちによりよいサービスを提供できる」と述べたうえで、将来の経営統合や資本提携については否定している。

 【表1】、【表2】を見ていただきたい。企業提携を発表した山口FGと愛媛銀行と、愛媛銀行と競合する第一地銀の伊予銀行との株価(東証一部)と経営成績の推移表である。

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※クリックで拡大
https://www.data-max.co.jp/files/article/20200123-hamasaki-02.jpg
※クリックで拡大

~この表から見えるもの~

・業務提携を発表した23日の山口FGの株価は前日比▲14円の677円(▲2.03%)。また愛媛銀行の株価も前日比▲19円の1,142円(▲1.64%)となっている。伊予銀行の株価は前日比▲9円の578円(▲1.53%)。

・愛媛銀行と競合する伊予銀行の当期純利益および経常利益は、ともに愛媛銀行のほぼ4倍で、愛媛銀行が単独で生き残っていくのは厳しい状況にあることが読み取れる。

<まとめ>

 日経平均株価も前日比▲235.91円の2万3,795円44銭(▲0.98%)となっているものの、業務提携を発表し、その評価を期待した両行に対して、投資家は「こんなことでは反応しないよ」という厳しい評価を下しているようだ。

 かつて、西国の雄だった大内家は周防をはじめ、長門・石見・安芸・備後・豊前・筑前を領するなど、名実ともに西国随一の戦国大名となった。山口FGはこの業務提携を機に、業容を拡大し、大内家と同様に覇を称(とな)えることができるのだろうか。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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