2024年12月23日( 月 )

シリーズ・コロナ革命(11)~新型コロナ、日本経済を直撃

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~新型コロナウイルスが日本経済を直撃~

 【表1】を見ていただきたい。新型コロナウイルスが日経平均株価を直撃するまでの時系列推移表である。

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~この表から見えるもの~

■19年12月30日(月)
 2019年末の日経平均株価は、前日比▲181円10銭の2万3,656円.62銭(▲0.76%)で取引を終えている。

■正月明けの1月6日(月)
 日経平均株価は、前年末比▲451円76銭の2万3,204円86銭(▲1.91%)と大幅に値を下げてスタートしたものの、その後は順調な足取りで株価は上昇。

■1月17日(金)
 「始値」が2万4,103円45銭。「高値」も2万4,115円95銭と2万4,000円台に乗せ、「年初来の高値」。

■1月20日(月)
 「安値」が2万4,061円67銭。「終値」も2万4,083円51銭と2万4,000円台に乗せ、この2営業日で、始値・高値・安値・終値とも「年初来の高値」を付けた。

■2月3日(月)
 横浜・大黒ふ頭沖に同日夜に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた香港の男性(80)が、下船後の香港で新型コロナウイルスに感染したと確認されたことを受けて、厚生労働省は乗客乗員約3,700人を対象とした大規模な検疫を船内で実施。

■2月4日(火)~2月21日(金)
 この間、新型コロナウイルスが日経平均株価に影響を与えていないのが読み取れる。

■振替休日明けの2月25日(火)
 北海道を中心に全国で新型コロナウイルス感染者が増え続けていることなどの報道を受け、日経平均株価は前日比▲781円33銭の2万2,605円41銭(▲3.34%)と、2万3,000円を割る大幅な下げとなった。この日から投資家が「新型コロナウイルスが日本経済に与える影響」を認識したものと見られる。

■2月26日(水)
日経平均株価は前日比▲179円22円の2万2,426円19銭(▲0.79%)。様子見の株価。

■2月27日(木)
 日経平均株価は前日比▲477円96円の2万1,948円23銭((▲2.13%)と大幅に下落。2万2,000円割れとなった。

■2月28日(金)
 日経平均株価は前日比▲805円27銭の2万1,142円96銭(▲3.67%)。12年前のリーマン・ショックの時、以来となる記録的な株価下落に見舞われた。1月31日の2万3,205円18銭に対して、1カ月で▲2,062円22銭(▲ 8.89%)。昨年末比では▲2,940円55 銭(▲12.21%)と大きく下落。

■3月2日(月)9時00分~
 日経平均株価の始値は前日比大幅なマイナスでスタート。

■3月2日(月)10時前
 日銀の黒田東彦総裁は新型コロナウイルスの感染拡大により、金融市場が混乱していることに対し、「今後の動向を注視しつつ、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」との談話を発表。日銀総裁が談話を出すのは異例で、2016年6月に英国の欧州連合(EU)離脱を受け、麻生財務相と共同で発表して以来。単独では15年7月のギリシャ危機以来であり、新型コロナウイルスが日本経済に与える影響が極めて大きいと日銀が判断したからと見られる。

 黒田総裁は、「市場から、国債や数多くの株式をまとめてつくるETF(上場投資信託)の買い入れを積極的に行う方針を説明。これまでETFの買い入れは多いときで700億円台だったが、発表後1,000億円を大幅に超える国債を買い入れ、市場に資金を供給したと見られている。

 【表1】を再度見ていただきたい。黒田総裁の異例な談話を受けて、日経平均株価は上昇に転じた。

 2日の日経平均株価の始値は前日比▲293.17円の2万849円79銭(▲1.39%)と、2万1,000円台を割り込んでいた。しかし黒田総裁の発言を受けて、前場の日経平均株価は前日比+234.91円の2万1,377円87銭(1.1%増)。一転して上昇に転じて取引を終えた。

 後場の取引が始まった直後の12時38分、前日比+450.15円高の2万1,593円11銭(2.13%増)と大幅に上昇したものの、終値は前日比+201円12銭の2万1,344円08銭(0.95%)と、上げ幅を縮小して取引を終えている。

■3月3日(火)
 日経平均株価は前日比▲261円35銭の2万1,082円73銭(▲1.22%)。利食い売りに押されマイナスとなった。

■3月3日(火)夜(現地時間午前)
 新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から株価の急落が続くなか、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は緊急の追加利下げに踏み切った。利下げ幅は通常よりも大きい0.5%。政策金利を1%から1.25%の範囲に設定。G7(主要7カ国)の財務相・中央銀行総裁が同日夜、電話会議で打ち出した協調姿勢を受けたかたちとなった。FRBが、臨時の会合を開いて利下げを決めるのは、いわゆるリーマン・ショック直後の2008年10月以来、約11年半振りとなった。

■3月4日(水)
 日経平均株価は前日比+17円33銭の2万1,100円06銭((0.08%増)。【表3】の通り、FRBが前日夜、利下げを発表したものの、ダウ平均株価が▲785.91ドルの2万5917ドル41セントとなったことから様子見の株価となっている。なお、4日のダウ平均株価は、買い戻しの動きが見られ、前日比+1173.45ドルの2万7,090ドル86セント(4.53%増)と、市場2番目の大幅な増加となった。

■3月5日(木)
 日経平均株価は前日比+229円06銭の2万1,329円12銭((1.09%増)。日銀は胸をなでおろしたのではないだろうか。しかし、朝方に終わったダウ平均株価は前日比▲969.58ドルの2万6,121ドル28セント(▲3.58%)と大幅に下落しており、今後も一喜一憂することになりそうだ。

 【表2】を見ていただきたい。九州地銀7行(含むFG・FH)の株価推移表である。地域経済は人口の減少や高齢化にともない厳しい状況にあることから地銀の株価は下落している。それに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの蔓延である。

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~この表から見えるもの~

 黒田日銀総裁が3月2日に緊急談話を発表したが、九州地銀7行の5日の株価は3月2日と比較すると、

・ふくおかFGは▲49円(▲2.94%)。
・九州FGは▲9円(▲2.42%)。
・西日本FHは▲11円(▲1.76%)。
・北九州銀行を傘下に置く山口FGは▲20円(▲3.41%)。
・大分銀行は▲26円(▲1.22%)。
・宮崎銀行は▲151円(▲6.76%)。
・佐賀銀行は▲110円(▲7.71%)。

<まとめ>

 日銀やFRBは新型コロナウイルスが経済に与える影響を懸念して対応しているが、後追いに過ぎないのではないだろうか。東京五輪の開催も危ぶまれるなか、今は、いかに新型コロナウイルスの蔓延を食い止めるかにかかっているといえるだろう。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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