【コロナと対峙する企業】アパホテル～安倍首相の“応援団長”コロナ軽症者受け入れのため、新築した横浜の国内最大規模ホテルを1棟貸し（前）

アパホテルの元谷芙美子社長がコロナ感染者受け入れを表明

　アパホテル（東京・港区）の元谷芙美子社長（72）は4月6日、フジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」に生出演。政府から新型コロナウイルスの軽症の感染者を受け入れる打診を受け、全面的に受け入れると表明した。
　元谷芙美子社長は「日本最大のホテルチェーンとしてお力になりたい、お役に立ちたいという一心でございます」と説明。受け入れの規模は、1棟貸しが前提で東京3000室、大阪は1500室、名古屋350室、合計で5000室程度を提供できる準備があるという。

　元谷社長は「風評被害は受けておりまして、キャンセルもうけています」と苦しい胸の内も明かしたが、従業員からも賛同を得たという。「私の誇りとして、誰1人として社長の判断に反対する者がなくて、この国難にあたり一致団結して乗り切りたいと…。今は大変ですけど、収まった先には10年後、アパホテルがいい役割をしてくださったという評価をいただけるよう頑張ります」と激白した。
　元谷芙美子社長は、派手な帽子とミニスカート、レディーススーツの”正装”風の姿、メディアへの大量露出で有名社長となった。

アパホテルは8ホテル6089室を1棟貸し

　神奈川県は4月10日、軽症・無症状者向けの宿泊施設について、「アパホテル&リゾート横浜ベイタワー」を確保したと発表した。病床数は2311室で、4月20日から受け入れを始めた。現在、7ホテル、6000室の1棟貸しを行っている。

　ライバルの東横イン（東京・大田区）は「東横INN」を冠した国内16ホテル、海外2ホテルの1棟貸しを行った（5月18日現在）。九州・沖縄では、北九州空港、西鉄久留米駅前東口、那覇旭橋駅前がある。

華々しく開業した国内最大規模の「横浜ベイタワー」も1棟貸しホテルに

　ホテルチェーン大手のアパグループ（東京・港区）は19年9月20日、国内最大規模の「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」（横浜市中区、2311室）を開業した。
　同ホテルは地上35階建てで、国際会議や外国人観光客などの需要に応え、最大600人収容の大宴会場や露天風呂付き大浴殿、屋外温水プールやフィットネスジムを設けた。

　開業披露式典で、アパグループの元谷外志雄代表（76）とアパホテルの元谷芙美子社長があいさつ。各メディアは、同じ首都圏ベイエリアに立地する同社の大型ホテル「アパホテル＆リゾート〈東京ベイ幕張〉」（千葉市美浜区、2007室）の稼働率が平均90％台と高水準で推移していることを受け、「まずは横浜でも稼働率95％を目指したい」（元谷外志雄代表）と力を込めたと報じた。

　「アパホテル＆リゾート〈横浜ベイタワー〉」の2311室は、同ホテルに近いみなとみらい（MM）21地区の主要ホテル、ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、横浜ロイヤルパークホテル、横浜ベイホテル東急の客室数を足してもまだ、4割も多い。同社が「日本最大級」と謳う巨大ホテルである。

　だが、一寸先は闇。コロナ禍で、半年後に1棟貸しを行うようにとなるとは、夢想だにしなかったことだ。
　新築ホテルのコロナ感染者受け入れホテルへの転換は、「アパホテル＆リゾート〈横浜ベイタワー〉」だけではない。20年6月に開業予定の「アパホテル＆リゾート〈両国駅タワー〉」（1111室）、20年3月に客室をリニューアルした「アパホテル＆リゾート〈札幌〉」（903室）も1棟貸しした。

（つづく）

【森村　和男】