LIXIL、グローエのトップだったヘインズ氏を解任(中)
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シャドーバンキングに投資して損失を出したジョウユウ
英フィナンシャル・タイムズ紙は「『影の銀行』リスク、LIXIL海外展開で浮き彫りに」(16年1月12日付)で次のように報じた。同紙を買収した日本経済新聞電子版で読むことができる。
〈ジョウユウは、複数の貸し手から資金を調達する際、中国国内の工場を何回も差し入れていたことが明らかになっている。同社はさらに、その一部の資金をシャドーバンキング(影の銀行)に貸し出していた。この借り入れと貸し付けからなるピラミッドが崩壊したことが、LIXILグループに大きな穴を開ける結果となった。
LIXILグループがグローエを買収した時、その子会社であるジョウユウは成長の鈍化にあえいでいた。シャドーバンキングにまた貸ししている企業家に対し、銀行が融資の回収を進めたことで、債務不履行が急拡大したわけだ〉2010年、中国人民銀行は景気の過熱を抑えるため、金融の引き締め策に踏み切った。これにより、地方政府は事業を続けるための資金を借りられなくなった。そこで、地方政府が頼ったのが、銀行を介さない金融取引、これがシャドーバンキングだ。
地方政府傘下の投資会社が「理財商品」と呼ばれる金融商品を発行し、10%を超える高い利回りで投資家に販売して、資金を集める。地方政府は、この資金で都市開発などを続けた。しかし、借りた金に10%を超える利息を付けて返済することが出来るわけがない。早晩、破綻するのは目に見えている。
ジョウユウの創業者、蔡建設氏と息子の蔡吉林氏は、地元・南安の街の大物として、シャドーバンキングに投資した。南安ではシャドーバンキングへの貸し出しが大流行していた。〈2014年10月、南安の融資ピラミッドがついに崩壊した。呉山河という金融業者が逮捕され、シャドーバンキングで何億元ものお金が吹き飛んだのだ〉(前出フィナンシャル・タイムズ)
LIXILはジョウユウのシャドーバンキング問題をつかんでいなかった。当時、シャドーバンキングは、日本のメディアにも大きく取り上げられていた。中国企業を買収するのに、シャドーバンキングのリスクに目を向けなかったとは不思議というほかはない。
ジョウユウに資産調査を拒否されても買収した愚
LIXILグループは今年1月18日「ジョウユウ問題に関する再発防止策の進捗状況」を開示した。昨年11月に公表した調査結果は700字あまりの概略だったが、今回は1万字を割いて説明している。仰天するような内容なのだ。
M&A(合併・買収)の際には、不正会計による利益の水増し、簿外債務がないかを調べるため、デュー・デリジェンス(DD)を行う。
「グローエは、蔡親子の抵抗からDDが進まず、グローエによるジョウユウの連結子会社後も、ジョウユウの財務情報にアクセスできなかった」(調査報告書より。以下同様)。
グローエは、きちんと調べることなく、ジョウユウを子会社化した。
これはLIXILも同様。「ジョウユウに対するDDは一向に進まなかった」(同)。にもかかわらず、蔡親子からの追加買収に踏み切る。
15年4月に、蔡氏一族のドイツ持ち株会社が、まだ保有していたグローエ株12.5%をLIXILが直接買収。これにより、LIXILはグローエ株の保有割合が56.25%となり、グローエ=ジョウユウの連結化が完了。
その週間後に、ジョウユウの不正会計問題が発覚。ジョウユウは破産。ジョウユウの破産によって、LIXILグループは660億円の損失を出した。
(つづく)
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