本物の経営と人間愛を受け継ぎ『良い水創り・人財(ひと)創り』に励む(前)
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ゼオライト(株) 代表取締役社長 嶋村 謙志 氏
ゼオライト(株)の創業者・河村恭輔名誉会長は、2020年11月3日に永眠された。現会長で妻の勝美氏と二人三脚で同社を成長・飛躍させてきた。恭輔氏の経営理念『良い水創り・人財(ひと)創り』を通して、夫妻の一挙手一投足を間近で見てきた現・代表取締役の嶋村謙志氏。恭輔氏が遺した数々の「財産」を今後どのように活かして、より発展させるのか?恭輔氏と勝美氏の功績を振り返りながら、今後の事業構築について嶋村社長にインタビューした。
(聞き手:データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
仕事と人を愛すること
――改めて恭輔名誉会長と歩んできたこれまでをお聞かせください。
嶋村謙志氏(以下、嶋村) 私は1996年4月に新卒で入社いたしました。最初の配属はメンテナンス事業部でした。現在、事業の中核を担うメンテナンスの仕事について恭輔名誉会長は、「将来、会社の命運を握っている」と常に重要性を説いていらっしゃいました。メンテナンス事業部から、営業やプラント工事など経験を積ませていただきました。また、国内外へも出させていただきながら、経営や専門技術についての学びの場も提供してくださりました。常に名誉会長の側で仕事できて、毎日が学びでありました。勝美会長とともに、いつもお客さまとお取引先、そして社員たちの幸せのために、仕事に没頭されておりました。私たちは、お二人の背中を見据えながら、成長してきたのです。
――恭輔名誉会長からどんなことを学ばれましたか。
嶋村 学び続けることと、仕事と人へ愛情を注ぐことの大切さです。名誉会長は、自ら体現されておりました。経営理念の『良い水創り・人財(ひと)創り』をひたむきに、休むことなく取り組まれてきました。時間を見つけると常に水と技術系の書籍を手にされて、じっくり読まれておりました。時折、「嶋村君、良い本だから読んでごらん」と名誉会長から渡された書籍を読みました。
どの書籍も、専門性が高度な内容でありました。工学博士であった名誉会長には普通のレベルだったのでしょうが、私には高度過ぎてわからない部分もありました。名誉会長に質問しますと、親切・丁寧に教えてくださりました。学びを仕事につなげられて、日々技術と品質向上に挑まれておりました。そしてどのような立場の人々に対しても誠実かつ丁寧なコミュニケーションをとられておりました。
――嶋村社長のお話をうかがいながら、恭輔名誉会長の存在の大きさを改めて知りました。
嶋村 ご存知の通り、我が社の哲学の1つに「見返りを求めない無償の愛」があります。つまり親が子を守り、育てようとする思いです。自分を犠牲にしてでも子の幸せや成長を願う純粋な愛情をお互いに掛け合っております。
たとえば社内において、仲間が困っているなら理屈抜きに助ける。また問題を起こせば、心から相手のことを思って間違いを厳しく正すことです。仲間同士は裏切らないという信頼関係の下、何でも打ち明け合い、言うべきことを言い合える間柄を築いております。「見返りを求めない無償の愛」を教示されたのは名誉会長であり、勝美会長です。
このことは、50周年を記念して恭輔名誉会長・勝美会長が創業からここまでの苦労や体験、経験からしか学ぶことのできないゼオライトの想いを「ゼオライトフィロソフィ」というかたちにして、現在、そして将来の社員に向けて伝えてくれました。このフィロソフィには名誉会長、会長ともに偉大な経営者として尊敬されていた稲盛和夫さんの経営哲学から学んだことを、合計42項目の判断の基準、行動の指針としてまとめてくれました。私たちは、この「ゼオライトフィロソフィ」を心の拠りどころに毎日全社員が唱和をしています。これからゼオライトが100年企業を目指すなかで、「ゼオライトフィロソフィ」は自分たちが目指す指針、羅針盤となっているのです。
――以前、貴社で行われていた朝食会が一例ですね。
嶋村 朝食会は、時代の変化に合わせて現在は実施しておりませんが6年間続きました。社員全員に栄養のバランスの良い朝食を食べて、健康で元気な1日を送って欲しいという恭輔・勝美夫妻の思いです。勝美会長が、毎朝5時から出汁をとり、仕込みをする手間隙かけた朝食づくりを毎日続けられたのです。個々の健康管理とともに、「同じ釜の飯を食う」ことで、社内の一体感を醸成することを目指しておりました。我が社の朝食会は、まさに「見返りを求めない無償の愛」を象徴するエピソードです。わたしたちには、恭輔名誉会長と勝美会長の哲学を、正しく受け継ぎ体現していく使命があります。
(つづく)
【河原 清明】
嶋村 謙志(しまむら・けんし)
1974年1月31日生まれ。福岡県宗像市出身。西日本工業大学工学部機械工学科卒業後、96年4月にゼオライト(株)入社。メンテナンス部に配属される。取締役部長、取締役常務、専務取締役を経て、2014年8月取締役副社長に就任。16年8月に代表取締役社長に就任。法人名
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