山口FG・吉村猛会長、平取締役降格~「田舎芝居」を観覧しての所感(1)
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バンカーによるスキャンダルが全国津々浦々で発生していることからもわかるように彼らが皆誠実というわけではない。人間であり誘惑に駆られるのは日常茶飯事である。そのスキャンダルにも優劣がつけられよう。
主人公である吉村猛の愛欲劇はまさしく「三流田舎芝居」である。愛人の能力を過信して彼女のやりたい新規事業を任せる。「退屈させたら興覚めして別れを告げられる」という恐れでも抱いていたのか!“猛”という名前からは信じがたい。
山口県のトップ企業中のトップが愛人関係を公にした神経は理解に苦しむ。信用を失うことをまったく考えていなかったようだ。前住友銀行は「犯罪の温床地」
バブルが弾ける前まで銀行が倒産するとは誰も考えていなかった。まして都市銀行クラスがバタバタ倒産するとは予想もできなかった。結果、都市銀行はメガバンクとして3グループに集約された。その1つであるみずほ銀行の業績は非常に悪い。内部権力闘争が激化することで「顧客目線」を失ってしまった。オンライン障害は毎度、恒例となっており、お客さんから見捨てられる始末である。
平成初頭のバブル期にバンカーのモラルは吹き飛んでしまった。あれだけ異常な「貸し出し戦争」に明け暮れていれば、融資を受ける側からも異様な誘惑の手が伸びる。これを拒絶することは、もはや不可能だった。そのスキャンダルの最前線に立つのが住友銀行(当時)である。このスキャンダルの内幕を見事にまとめ上げたのが、筆者の友人である有森隆氏だ。同氏が発刊した『住友銀行暗黒史』を参照されたし。読むほどに「天下をとっていた住友銀行の内部はこんなに腐っていたのか?」と絶句してしまうだろう。
犯罪のスケールが違う
國重惇史氏は住友銀行の取締役まで登り詰めた男だった。1945年生まれ、東京大学経済学部卒、94年取締役就任。最後はディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券社長(現・楽天証券)の座に就いた。この男の凄さは、当時の「辣腕頭取」西川善文氏と“さし”で話をつけて楽天に転売するのを認めさせたことだ。その成果を「元手」に楽天証券社長を皮切りに楽天銀行社長、楽天副会長を歴任した。ここまでの要職を歩めば老後資金もため込んでいたはずなのに、と思う。
この國重氏が『住友銀行秘史』を出版したのが2016年のことであった。文中の暴露記事は「おどろおどろしい」ことばかり。「何をいまさら、お世話になった銀行のことを暴露して」とか「生活に困ったうえでの出版収入目当てか!」と陰口を叩かれた。確かに生活が荒れていた同氏は生活費に困っていた。しかし、残念ながら印税は多少の足しにしかならなかった。年齢的に見れば國重氏は「バブル恩恵世代」の第二期グループであった。
吉村猛山口フィナンシャルグループ前会長(現在・取締役)は1960年生まれの61歳。同じく東大経済学部卒業である。國重氏の15歳年下で学部でも後輩になるが、活躍したフィールドのスケールが違いすぎ、比較にならない。小物は小物を意識して愛人を「密やか」に囲い、表面化しないように処置しておれば、代表権を取り上げられることはなかったのに、と悔やんでいよう。
(つづく)
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