山口FG・山口銀行内は厳戒態勢?~吉村猛取締役の件はアンタッチャブル(2)
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6月25日に代表取締役会長兼CEOを解任された吉村猛取締役。今般の一件については、間もなく3週間が過ぎようとしているものの、まだ同社本部および山口銀行本店内では、不穏な雰囲気が続いているという。当社・特別取材班は、同社社員および同社OB複数の証言を得た。
4.吉村取締役の子飼い幹部および一般社員の状況について、どのような見解をお持ちですか?
- 株主総会後に発表された執行役員人事までは吉村の意向なのだろう。
吉中(人事・総務統括本部長)が執行役員から常務執行役員に昇格して驚いた。 - 人事考課の操作と残業の強制禁止でコストカットしたことへの評価なのだろう。
- 記事ではA(愛人)が人事考課「B」で怒ったと書いてあったが、標準の「C」ですら難しくなっている。平均未満の「D」が標準になりつつあり、「E」ですら珍しくなくなっている。真っ当な企業では考えにくい。
- 公正な評価であればわかるが、根拠もなく恣意的に行っているのが問題。従業員の給料を下げると役員の給与が増えるという仕組みにも問題がある。
- 決算発表で人件費だけで35億円削減したと書いている。行員の数で割ってもかなりの金額。生活設計が狂ってしまったという行員の声もかなり聞いている。
- 優秀な行員から去っていく。他行やコンサル、事業会社とバラバラだが、山口FGでは自分の未来を見出せないのだろう。
- データ・マックスでは「吉村チルドレン」のことも書かれていたが、将来ある若手を使い捨てのように潰したことは山口FGの未来にとって大きな損失。ライバル行に転職しているのだから笑えない。
- 退職者は増えているが、心を病んで辞めていく人も多い。在籍者でも精神的に参っている人はかなりいるし、企業文化そのものを変える必要がある。
- 人事や労働組合は「ワークライフバランス」という言葉が好きだが、意味を理解していないのではないか。強制的に残業を減らすことではなく、心身ともに健康で働けることが重要だ。残念ながら、そのような職場環境になっていない。
- 所詮は御用組合。経営層の言葉をそのまま伝えるだけの役割でしかない。
- 本部では明るい兆しと歓迎ムードのようだが、支店では吉村1人だけの責任とは思っていない。本部がしっかりしていないからだという思いはある。情報も入ってこず、不信感が高まっているだけ。
- 取締役の椋梨と福田は正義の味方のように振る舞っているが、これまで何もしてこなかった反省が先だろうと思う。FG執行役員やグループ銀行役員も同罪。
5.吉村取締役の“院政”─吉村取締役の力はまだ悠然としていると、あるOBは分析しているが、本当にそうなるのでしょうか?
- 吉村は山口銀行の会長も退任したのは失敗だったのではないか。山口銀行会長にとどまっていれば山口FGに圧力を掛けることもできただろう。
- 吉村が自ら辞任しない限り、取締役を解任することは難しいだろう。吉村が新しいトップを担いで椋梨に対抗するという予想はある。その場合、山口銀行の神田頭取が筆頭候補だろうか。椋梨は執行役員登用から社長就任までの時間が短く、他の幹部の信頼がない。吉村の意向でトップになっただけで準備不足。快く思っていない銀行役員も多い。
- 椋梨は力不足かもしれないが、今さら、吉村に従う役員がいるのかは疑問だ。
ただ、椋梨に不満を持つ役員が結託することはあると思う。吉村抜きでも。 - 椋梨はようやくスーツにネクタイ姿の写真を掲載できるようになった。吉村と横並びのときはラフな姿でしか撮影できなかった。その意味では、吉村の影響は一気に薄らいだのかもしれない。
- ディスクロージャー誌でもスーツ姿の吉村に、カジュアルな椋梨の並んだ写真は、違和感があった。違いを見せつけるために吉村が決めたことなのだろう。
- 本部ビルでも吉村を見掛けなくなった。あきらめたのか、はたまた隠れて策を練っているのか。噂はいろいろとあるが、真偽のほどはわからない。
- 社外取締役全員に解任された以上、吉村はグループを支配できるような力を取り戻すことはできないだろう。監督当局もガバナンスの問題を認識したはず。
- 田中耕三問題のときには経営難の銀行を押し付けて見て見ぬふりをした。条件付で黙認ということはあるのかもしれない。ただ、当時と違って全国の注目の的。難しいだろう。
- 日経の記事でコーポレート・ガバナンス報告書に関する指摘を受けていたが、会長解任直後に改定している。社長の解任手続しか書いていなかったというのは、吉村が理解したうえでそうしていたのかもしれない。そうだとしたら、本当に恐ろしい人。本部職員の仕事が雑なだけかもしれないが・・・。
- 一気に過去の人になっていくのではないか。取締役を社外で過半にした以上、院政なんて難しいだろう。自らが導入した仕組みで首を絞められている。せいぜい、子飼いの役員を集めて反対勢力をつくるくらいだろうが、どれだか付いていくのかも疑問。イエスマンの福田(取締役監査等委員)ですら解任に賛成したようだし。
(つづく)
【特別取材班】
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