2024年11月22日( 金 )

福岡市の防災活動に貢献防災・安全・運営の3委員会を再構築(前)

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(一社)福岡市建設業協会 会長 金子 幸生 氏

 (一社)福岡市建設業協会の新会長に7月5日、金子幸生氏が就任した。金子会長は地場ゼネコン・日建建設(株)の代表取締役として、地域のまちづくりに尽力。金子氏の会長就任により、次世代への継承と、福岡市と締結した防災協定の強化を進める。近年、甚大な自然災害が立て続けに発生するなか、同協会の活動に期待が寄せられている。

防災・安全をクローズアップ

金子幸生会長
金子 幸生 会長

 金子幸生会長は7月5日に開かれた福岡市建設業協会の定時総会で、「設立時に立ち返り、一歩一歩活動を進めていきます」と挨拶。例会の定期開催、防災・安全・運営の3委員会の再構築を表明した。「2018年10月の設立時に掲げた『福岡市への貢献・市行政との連携・市民の安心と安全を守る』を柱に運営してきた初代会長・岩崎成敏氏(岩崎建設(株)代表取締役)が築かれた実績を引き継ぎ、より一層、市民の安全と安心に尽力していきます。会長を拝命したからには、積極的にアイデアを提言するなど、会員企業の皆さんとともに活動していきます」と決意を述べた。会員企業として現在31社が加入している。同協会は7月14日と8月31日に福岡市との意見交換会を開催。金子会長は、今まで以上に市との連携、情報交換、信頼関係を構築する方針を示した。

 同協会は19年10月11日、福岡市と「防災活動に関する基本協定」を締結した。協定の主な内容は、「福岡市内で地震・風水害などにより被災した民間住宅(戸建住宅)およびその敷地の応急処置を行う」こと。金子会長は「会の従来の活動はもとより、市との防災協定における緊急時の活動を強化していきます」と今後の方針を明確にしている。

地場建設業の機動力

 (一社)全国建設業協会によると、47都道府県の建設業協会は、それぞれの都道府県との間で災害協定を締結している。これに加えて、39の建設業協会は家畜伝染病発生時の防疫協定を締結、または災害協定に準じて出動する取り決めを結んでいる。 

 全国建設業協会では、災害・防疫協定締結の意義、目的について次にように説明している。 

 「我が国はここ20数年来、東日本大震災、熊本地震、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震などの大規模地震に見舞われています。また、地球温暖化の影響とみられる記録的な豪雨、台風が毎年のように全国各地を襲い、甚大な被害をもたらしています。一方、家畜伝染病も相次ぎ、養鶏・畜産業の脅威となっています。凶暴化する自然災害や伝染力の高い鳥インフルエンザなどに対する防災・減災は政策的にも最優先される喫緊の課題で、建設産業は地域危機管理産業として、日ごろから地域の安全・安心を守るという使命感、責任感をもって活動しています。そして、ひとたび災害が発生すれば、いち早く現場に駆けつけ、最前線での緊急対応、復旧・復興活動に従事する役割を担っています」。 

 つまり、地場建設業の各社では、緊急・甚大な自然災害発生時に、すぐに対応できる体制を構築しているわけだ。 

 17年7月に発生した九州北部豪雨。消防庁の発表によると、福岡県で37人(朝倉市34人、東峰村3人)、大分県日田市3人の計40人が死亡し、朝倉市では2人が行方不明。住宅被害は福岡県と大分県の合計で、全壊336棟、半壊1,096棟、一部破損44棟、床上浸水180棟、床下浸水1,481棟。このほか、河川氾濫、土砂崩れなどにより道路や鉄道などのインフラが崩壊し、地域の機能が麻痺した。福岡県建設業協会は緊急対応として、木造仮設住宅45戸を約1カ月で竣工。さらに、物資支援としてブルーシート200枚、土嚢3,000個、軍手1,000組を寄付するなど災害復旧に尽力した。 

 18年6月から7月にかけて発生した西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の災害復旧では、土石流により道路や河川内、家屋内に流出した土砂と瓦礫の撤去・運搬を実施。災害地域への進入路整備、土留め応急対応、ポンプ車・散水車の出動などの災害復旧支援活動に取り組んだ。また、各地方整備局などからの要請を受け、被災地以外から作業員や資機材(土嚢袋、大型土嚢袋詰機、ポンプ車、照明車など)を投入するといった広域支援も実施した。 

 17年3月の千葉県旭市の鳥インフルエンザ疑似患畜による防疫活動支援、18年9月に発生した北海道胆振東部地震での支援などの実績がある。また、豪雪による不眠不休の排除雪活動に出動したこともある。 

 また、熊本地震(16年4月:死者は関連死を含め276人、負傷者は約2,800人。住宅被害は約20万棟、ライフライン・インフラ崩壊など)における復旧支援活動の初動対応(17日間)では、建設機械3,923台、ダンプカー4,641台が投入され、1万7,720人が活動。道路啓開、応急復旧、パトロール、避難所支援などのさまざまな災害支援活動に尽力した。

  これら以外でも、各地域の地場建設業の各社は、迅速な機動力と実践力を生かして災害支援を行っている。自衛隊やボランティアスタッフに並び、その貢献度は高い。 

(つづく)

【河原 清明】


<ASSOCIATION INFORMATION>
代表理事・会長:金子 幸生
所在地:福岡市博多区博多駅東3-14-18
設 立:2018年10月

(後)

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