2024年12月24日( 火 )

山口FGの舞台裏~後手に回った取締役解任劇 (後)

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吉村取締役解任の臨時株主総会開催の経緯

 【文書1】は、山口フィナンシャルグループ(FG)が11月1日に発表した「臨時株主総会開催日等及び付議議案の決定に関するお知らせ」である。要約すると以下の通り。

(1)開催予定日
 12月24日午前10時
(2)開催場所
 山口銀行本店8階講堂(下関市竹崎町4-2-36)
(3)付議議案
 第1号議案 取締役吉村猛氏の解任
 第2号議案 曽我德將氏の取締役選任
(4)解任理由
 10月14日公表の社内調査報告書で以下の点を挙げた。
 ・吉村氏が取締役会規則に違反して取締役会決議を経ることなく、自己の権限を逸脱して「新銀行設立にかかる案件」 の職務を執行した。
 ・吉村氏の取締役としての資質に関する諮問を行い、その資質を有さないとの答申を得た。
 ・銀行持ち株会社の代表取締役としての適格性に疑義を生じさせる言動が認定された。

 山口FGは5月14日、臨時決算取締役会(議長:吉村会長兼CEO)を開催し、21年3月期決算を承認。同時に、吉村氏に対する「告発文書に記載された事項等を調査する調査委員会」の設置を求める議案が緊急上程され、賛成多数で承認された。

 同議案の上程は、5月初旬に「山口FGを憂える志士一同」名義で、吉村氏を除く山口FGの全取締役に対し、山口FG会長兼CEOである「吉村氏の所業を告発する旨の書面」が送付されたことが契機となった。吉村氏と取締役(社外を含む)の対立が決定的となった。

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 5月26日、委員長の梶谷剛弁護士(社外)、委員の佃和夫社外取締役、国政道明社外取締役(監査等委員)、福田進社内取締役(監査等委員)、永沢裕美子社外取締役の5人による調査委員会を設立。調査委員会が調査を進めていくと、吉村氏の独断専行が深刻であることが判明した。

 そのため、6月25日に開催された株主総会後の臨時取締役会で、吉村氏を取締役に降格させ、椋梨敬介取締役社長兼COOが代表取締役社長兼グループCEOに就任した。

 調査委員会は7月26日に調査報告書を提出。吉村氏に対し、以下の7つの告発事項を基に取締役辞任を勧告している。
(1)第一生命保険事業への関与
(2)地方創生プロジェクトの失敗~独断専行
(3)ワイエムライフプランニングの失敗
(4)行員軽視、蔑視の姿
(5)外資系経営コンサルタントとの癒着
(6)業績の悪化
(7)不適切な女性関係

 【文書2】は、Net IB Newsで10月22日から今月2日まで8回にわたって連載した「山口FGの吉村猛取締役の辞任勧告を検証する」の10月25日付記事である。

 吉村取締役に対する辞任勧告は11月1日付の「臨時株主総会開催日等及び付議議案の決定に関するお知らせ」となり、解任は12月24日の臨時株主総会で決まると予想される。

山口銀行OB会「清交会」を6地区で開催

 【表】の通り、新型コロナウイルスの感染拡大により休止状態にあった山口銀行のOB会である「清交会」が、飲食なしで13日(萩地区)から12月5日(山口地区)までの6地区で開催されることになった。萩地区は時間的な余裕がなく会場が手配できず、萩支店の3階会議室で行う。筆者も出席する予定である。

 椋梨社長、山本道也清交会会長、小野哲同副会長、曽我同副会長、地区の母店長・支店長が出席する。山口FG専務執行役員(金融ユニット長)である曽我副会長は、12月24日の臨時株主総会で吉村氏の後任に選任される予定となっている。

 5月14日の取締役会で吉村氏の罷免を決議しておれば、臨時株主総会を開催する必要はなかった。後手に回った吉村取締役の解任劇。急遽開催されることになった清交会。その裏にはどのような思惑が秘められているのだろうか。

【文書1】山口FGの「臨時株主総会開催日等及び付議議案の決定に関するお知らせ」

【文書1】山口FGの「臨時株主総会開催日等及び付議議案の決定に関するお知らせ」
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【文書2】連載「山口FGの吉村猛取締役の辞任勧告を検証する」10月25日付

【表】山口銀行清交会(OB会)

 

 (了)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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