山口FG、12月24日の臨時株主総会を無事に乗り切るための布石か

【表1】は山口フィナンシャルグループ（以下、FG）の2021年6月25日の定時株主総会およびその後の臨時株主総会までのニュースリリースの時系列推移表である。
～この表から見えるもの～
◆山口FGは5月14日、「第15期（2021年3月）決算」を発表。
◆同日「当社およびグループ内銀行における役員異動に関するお知らせ」を発表。山口FGと山口銀行の役員異動を抜き書きすると、

2.    その他の取締役の異動
(1)    監査等委員である取締役以外の新任取締役候補
（2021年6月25日開催予定の定時株主総会において就任予定）
取締役　山本　譲  （現・宇部興産（株）取締役会長、（株）山口銀行取締役【社外】）
取締役　三上智子 （現・日本マイクロソフト（株） 執行役員コーポレートソリューション事業本部長）
(2)    監査等委員である新任取締役候補
該当ございません。
(3)　退任予定監査等委員である取締役以外の取締役
（2021年6月25日開催予定の定時株主総会の終了のときをもって退任予定）
取締役副社長  久野耕一郎　（現・ユニットCOO）
取締役 　　　   楠　正夫

（以下、略）

◆5月14日に発表された役員異動は、6月25日に開催された定時株主総会で賛成多数で承認された。しかし、その直後に開催された臨時取締役会議で、吉村猛・山口FG代表取締役会長兼CEOは賛成多数で取締役に降格され、椋梨敬介・山口FG社長兼COOがその後任として、山口FG代表取締役社長兼CEO（最高経営責任者）に就任。筆者著の『実録　頭取交替』に続く、2回目のクーデターが発生したと見られている。
・【表2】は定時株主総会前の山口FGの取締役経歴表。
・【表3】は議長の吉村CEOを解任し新たにCEOに就任した椋梨議長が、吉村氏を取締役に降格する議案を上程。議長は賛否に加わらず、反対1名、賛成8名の取締役経歴表である。

＜臨時株主総会について＞
山口FGは、11月1日に臨時株主総会開催を発表。
1.    臨時株主総会の開催日および場所
（1）開催予定日    12月24日（金）午前10時
（2）開催場所    山口銀行本店8階講堂（山口県下関市竹崎町四丁目2番 36 号）
2.  臨時株主総会の付議議案
　  決議事項
  　　第1号議案　取締役吉村猛氏解任の件
　　  第2号議案　取締役（監査等委員である者を除く。）　1名選任の件

＜まとめ＞
山口FGは11月25日、独立した立場の議決権行使助言会社グラスルイス社が「当社臨時株主総会の上程議案に関する議案に賛成推奨した」と発表。
　さらに、12月3日、独立した立場の議決権行使助言会社ISS社も上程議案に対して賛成推奨したと発表。世界最大手2社からの賛成推奨を受けたと発表した裏には、「（1）吉村猛CEOの取締役への降格、（2）辞任勧告、（3）吉村取締役の解任決議」を正当化し、臨時株主総会を無事に乗り切ろうとする布石があるのではないだろうか。

【（株）データ・マックス顧問 浜崎 裕治】