【賢人提案】秋田から日本を、世界を動かす(後)
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公立大学法人国際教養大学
理事長・学長 モンテ・カセム 氏
日本ビジネスインテリジェンス協会
理事長 中川 十郎 氏
DEVNET INTERNATIONAL世界本部
総裁 明川 文保 氏公立大学法人国際教養大学は2004年4月に開学。卓越したコミュニケーション能力と豊かな教養、グローバルな専門知識を身につけた人材の育成を理念として掲げている。21年6月には立命館アジア太平洋大学学長などを歴任したスリランカ出身のモンテ・カセム氏が理事長・学長に就任した。モンテ・カセム氏と日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏、DEVNET INTERNATIONAL世界本部総裁・明川文保氏に国際教養大学の取り組みやスリランカと日本の今後などについて語りあってもらった。
世界中に「友人」を
カセム 新聞報道などで明川総裁、中川先生もご存知かもしれませんが、秋田市沖で洋上風力発電の整備が進められています。従来の化石燃料は、そこから発生した有害物をリサイクルするなど「健全化」しながら経済を回しています。しかし、再生可能エネルギーのように自然界と人間界が共存できるようなエネルギーの活用を行うことで、新たな原動力が生み出されるのではないでしょうか。そうなってくると自然界と長年共生してきた地方経済圏に優位性が出てくるわけです。国際教養大学と秋田県がタッグを組み、模範的な好例を示していきたいと考えています。
明川 国際教養大学は、たしかに「地方」にあるため不利な面もあるでしょう。しかし、明治維新のメインキャストは長州や薩摩など、今でいう「地方」の藩だったわけです。私は、現在の国際教養大学が置かれている立場は、幕末における長州藩に酷似しているように感じます。カセム先生の学長就任がきっかけとなり、長州藩と同様に優秀な人材を次々と輩出し、彼らが日本を変える原動力になっていくのではないでしょうか。
中川 先ほどの再生可能エネルギーのお話には大変感銘を受けました。新潟県で活動を行っている(公財)環日本海経済研究所は、北東アジアの経済発展と経済協力の強化のため、中国、韓国、北朝鮮、モンゴル、ロシアの極東地域の経済動向調査と経済交流の促進に30年近く取り組んでおり、毎年「北東アジア経済発展会議」を開催しています。このたび、秋田にカセム先生が来られましたし、いよいよ本格的に「アジアの時代」が到来したと身をもって感じている次第です。
私はこれまで3回スリランカに行ったことがありますが、非常に清潔で南アジアで最もきれいな街並みという印象を受けました。また、アーユルヴェーダのような伝統医療があるため、今後医療産業の発展も見込め、コロナ後は海外からのメディカルツーリズムも期待できるでしょう。
せっかくスリランカ出身のカセム先生が学長にご就任されたことですし、これを機に国際教養大学にスリランカ、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパールなど南西アジアについての研究を行う機関を創設してはいかがでしょうか。私が知る限り、それらの国々について研究する機関はありませんので、なかなかユニークな取り組みだと思いますよ。
カセム すばらしいアドバイスをいただき、ありがとうございます。今回、初めて中川先生とお会いしたのですが、私と考え方が非常に近く、とても驚いています。
南西アジア研究についてですが、現在国際教養大学が提携している大学の割合は北米、西欧・北欧、アジアがそれぞれ3分の1ずつです。学生の派遣と受け入れという観点からいえば、バランスが取れているのかもしれませんが、これから発展を遂げようとしている南西アジアの国々に着目する必要があると私も感じていました。
スリランカはインド洋のほぼ真ん中に位置する国です。歴史的に中東、西アジア、東南アジア、アフリカとの交流があるという地理的優位性の高さが特長です。しかし、残念ながらこうした地理的優位性を生かせていないのが現状です。スリランカは中国と長い交流の歴史をもっていますが、私は世界に平和と繁栄をもたらす力がより強いのは日本だと思うのです。
スリランカは日本人が思う以上に学歴社会です。また、平均寿命はアメリカや中国などの超大国と大差ありません。たしかに発展途上国ではありますが、無限のポテンシャルを秘めていると言っても差し支えありません。パートナーシップを深化させていくことはスリランカ、日本両国にとって大変意義があることだと思います。
近いうちに明川総裁がスリランカを訪問されるという話も聞きましたので、それがきっかけとなり、両国の関係がより深まることを期待しています。
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衰え続ける日本、根本的問題はどこにあるのか~政治と教育(1)私は、国と国が協働する際、核になるべきは大学ではないかと考えています。とくに発展途上国では政治指導者の交代が頻繁に行われ、そのたびにプロジェクトが停滞してしまいがちです。幸い大学という職場はある程度、安定して働くことができるので、長期的なプロジェクト実行の中核に据えるのにうってつけの機関なのです。そして、将来的には国際教養大学とほかの日本の大学がタッグを組むことで、世界中の国々に「友人」をつくることを目指しています。
(了)
<プロフィール>
モンテ・カセム
1947年スリランカ出身。70年にスリランカ大学自然科学部建築学科卒業。74年から一般社団法人日本地域開発センター研究員・コーディネーターを務め、76年に東京大学大学院工学系研究科卒業、マレーシアサインズ大学講師、立命館大学教授、立命館アジア太平洋大学学長、学校法人立命館副総長、大学院大学至善館学長などを経て21年6月から公立大学法人国際教養大学理事長・学長に就任。中川 十郎(なかがわ・じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現・双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部・同大学院教授、日本大学国際関係学部講師、日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師などを経て、2013年4月より名古屋市立大学22世紀研究所特任教授。国際アジア共同体学会学術顧問。明川 文保(あけがわ・ふみやす)
DEVNET INTERNATIONAL 世界総裁。日本支局・一般財団法人DEVNET JAPAN 代表理事。東久邇宮国際文化褒賞記念会 代表理事。山口県生まれ。1973年山口県防府市に日本初の冷凍冷蔵庫・普通倉庫を備えた3温度対応の総合流通センター開設。岸信介元内閣総理大臣後援会青年部会長、衆議院議員安倍晋太郎私設特別秘書、九州・山口経済連合会(現:九州経済連合会)の国際交流委員・運輸通信委員・農林水産委員、山口大学経済学部校外講師などを歴任。法人名
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