2024年12月24日( 火 )

【深層検証・山口FG(4)】山口FGの関係会社清算(後)

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 別の地元紙記者も山口FGの子会社について語った。

 「KAIKAは地元に特化したクラウドファンディングを売りにしているのですが、他のクラウドファンディングを運営する会社に比べて小さな案件ばかりです。インターネットで簡単に全国とつながる時代に地元だけに特化する意味がよくわからず、思い付きで始めたとしか思えません。地元でも知名度は上がっておらず、とても採算が合うようには思えません。かといって熱心に売り込む気もないようですし、先行きは厳しいでしょうね」

 地方創生を大義名分に地元に負担を掛けているのであれば、地元銀行としての在り方に疑問を感じざるを得ない。本当に事業性や採算を検証したうえで始めたのだろうか。

山口フィナンシャルグループ    さらに、山口FG社内ではワイエムライフプランニングを整理しないことに疑問の声があるという。NetIB-Newsでも何度か取り上げた問題のある企業である。これまで迷走してきたが、今後は支店長経験者がコンサルティングを行い、経営者や富裕層から顧問料を徴収するサービスに力を入れていくとの方針のようだ。

 このサービスの内容を聞いた、ある経営者は次のように語る。

 「銀行の支店長経験者がコンサルをしてくれるというのですが、我々事業者仲間は銀行からの出向者のほとんどが使い物にならないことを知っています。部長や支店長を役員で迎えたりしたら最悪ですよ。大した知識もないのに、ふんぞり返って職場の雰囲気は悪くなりますから。それでも融資を受けているので上納金のようなものだと割り切って天下りの出向を受け入れているのです。支店長経験を売りにされても、何の冗談かと思ってしまいますよ。天下り先が減って苦肉の策なのでしょうかね」

 NetIB-Newsの取材によると、支店長経験者が弁護士や税理士のセカンドオピニオンを行うサービスのようだ。支店長になったからといって、法律や税務に詳しくなったりはしないだろう。この経営者と同じく、銀行支店長が専門家のサービスと同等の価値を提供できるとは思えない。銀行員というものに過信があるのではないだろうか。銀行員が思うほど世間では銀行員が特殊な能力をもっているとは思っていないし、事実は世間の感覚通りだろう。

 山口FG関係者は、悲しげな表情で次のように語った。

 「3月末にも多くの従業員が退職していきました。ベテランも若手も幅広い年代です。体制が変わったとアピールしていますが、従業員のモチベーションは下がり続けています。退職者の出戻り制度もアピールしていますが、積極的に声を掛けているわけでもなく、優秀な人が戻ってきてくれる見込みなんてありません。待っていれば戻ってくるとでも思っているのでしょうか。そんな夢みたいなことを期待せず、いま働いている従業員を大事にすべきですね」

 いくら社外に向かって新体制のフレッシュなイメージをアピールしても、社員・行員は冷静に判断しているようだ。いまだに多くの社員・行員が見切りを付けて人材が流出しているようだが、山口FGは浮上することができるのだろうか。

(了)

【特別取材班】

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