コロナ禍3年目での反転攻勢 盤石な体制を構築し、次の未来へ（前）

（株）ホテルオークラ福岡
代表取締役社長／総支配人
杉山 良太 氏

「第7波」が襲来 再び不透明な状況に

    ──6月に社長に就任されました。まずはこれまでを振り返っていかがですか。

　杉山良太氏（以下、杉山）　静岡県浜松市の「オークラアクトシティホテル浜松」の総支配人を6年間務め、6月23日から「ホテルオークラ福岡」の代表取締役社長および総支配人に就任しました。それまで赴任していた浜松市の人口は約80万人、一方の福岡市は約160万人、ちょうど2倍ということもあり、市場規模の違いを改めて感じています。また、福岡市内には数多くのホテルがありますが、それぞれに特徴があり、いい意味ですみ分けができているのが印象的です。

　──コロナ禍の影響についてどう感じていますか。

　杉山　福岡にきて、いわゆる「マーケットの回復度合い」が浜松に比べて大分進んでいるという印象を受け、幾分安堵しました。しかし、それもつかの間のことで、コロナの第7波が襲来し、またしても先行きが不透明な状況に陥ってしまいました。

　着任した当初は、順調なペースで宿泊予約が入ってきていたのですが、第7波の襲来で、あっという間に減ってしまいました。夏休みシーズンということもあって頂戴する予約もあるのですが、同じぐらいキャンセルも出ている状況です。

　──コロナ以降の売上状況について、福岡と浜松とでは違いがありますか。

　杉山　浜松のほうが宴会の減少幅が大きいですね。一方、宿泊は稼働率という指標で見た場合、浜松が上回っています。

　2020年と21年は、コロナの影響をもろに受けた2年間だったといえるでしょう。今期は回復基調に向かうと見込んだうえで、予算設定をしているのですが、残念ながら実態と乖離が生じてしまっているような状況です。

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　コロナ禍になって「リードタイム」（宿泊日と予約日の間の日数）が、どんどん短くなっていきました。背景には、コロナの状況が不透明なため、なかなか予定が立てられないといった事情があるのだと感じています。ホテル側にとっては、リードタイムが短くなると、どうしても先の見通しが立てにくくなってしまいます。また、「ブッキングカーブ」（宿泊当日にどのくらいの予約が入っているか）の伸び率が低くなってきているのも、コロナ禍になってからの変化です。出張など、ビジネス利用のお客さまが減っていることが要因だと思われます。

    ──昨年、一昨年に比べると随分状況が良くなってきたのでは？

　杉山　確かに1年目、2年目に比べると、幾分良いかもしれませんが、宴会などは、キャンセルや延期が繰り返されている状況です。それでも博多祇園山笠の追い山が行われた7月15日、その後の3連休（16～18日）までは、それなりに良かったのですが、ここ2週間はレストランの客足が落ち、夏休みに入って3度目の週末（8月6～7日、※取材は8月3日）の宿泊予約の状況も芳しくありません。

　学会などの開催が少なくなっているのも大きなマイナス要因です。当ホテルは大規模な学会、セミナーなどを開催している福岡国際会議場などが近く、地理的なアドバンテージがあるのですが、例年に比べると開催予定の大規模案件が少ない状況です。近いうちに、大規模な学会が開催されるのですが、感染再拡大で参加を見合わせられる方が増えていますし、ハイブリッド形式による開催のため、ウェブでの参加者が増加しています。大規模な学会の開催は我々にとって大きなプラス要因だったのですが、現在の状況を考えますといたし方ありません。

　──ロビーに人が大勢いるのといないのとでは、受ける印象が大きく異なりますね。

　杉山　ロビーはホテルの顔ですので、やはり賑わいが必要不可欠です。この2週間の状況はお恥ずかしい限りです。

（つづく）

【文・構成：新貝　竜也】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：杉山　良太
所在地：福岡市博多区下川端町3-2
設　立：1996年2月
資本金：5億円
売上高：（22/3）25億5,200万円
ＵＲＬ：https://www.fuk.hotelokura.co.jp/

＜プロフィール＞
杉山　良太（すぎやま・りょうた）
1959年12月生まれ。82年3月成蹊大学法学部卒後、大成観光（株）（現・（株）ホテルオークラ）入社。2004年6月オークラフロンティアホテル海老名、オークラフロンティアホテルつくば、オークラアクトシティホテル浜松の総支配人を歴任。22年6月から現職。