安保法案、衆院委強行採決!公明党はどこへ行く
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集団的自衛権の行使を可能とする安保関連法案が15日、衆院特別委員会で強行採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決された。維新の議員が退席し、民主、共産両党の議員が抗議する中での強行採決だった。同法案には、「審議が113時間を超え、審議は尽くされた」(与党)という主張とは逆に、多くの憲法学者、元最高裁判事や元内閣法制局長官らが違憲だと指摘するなど、反対や慎重審議の声が広がっている。
16日には衆院本会議で可決される見通しだが、直後の土日には、全国各地で、安保法案反対の行動が予定されている。
与党議員からも「国民の理解が得られていない法案を、強行採決して参院に送って、やりぶすま状態だ。まともな審議ができるわけがないのに、どうする気だ」と、批判が出ているが、官邸の意向は絶対だった。マスコミの世論調査で内閣支持率が逆転し、これ以上衆院で議論したら、法案への反対は増えるばかり。参院が議決しなくても衆院で再可決できる「60日ルール」を使えるタイムリミットを越えるかもしれないとの不安から、強行採決に突き進んだ。自民党の増長を押さえるはずの連立与党の公明党が存在感を見せていない。衆院35議席、約730万票というキャスティングボードを握りながら、自民党の暴走に歯止めをかけられないのは、不甲斐ない。政権与党の座が長くなった割には、かつて新進党の旗揚げに加わるなど政局をリードしてきた勢いもないし、何よりも、「福祉の党」「平和の党」の二枚看板が色あせてきた。
公明党の支持基盤である創価学会の前身は戦前、初代会長の牧口常三郎氏や2代会長の戸田城聖氏が治安維持法違反で逮捕された。公明党や創価学会が平和を活動の軸に据えているのも、そういう歴史と体験を踏まえたものだったはずだ。太平洋戦争を自衛戦争だと言ってはばからない勢力にとって、最大の反省は「戦争に負けた」こと、つまり「勝てない相手(米国)と戦った」ことであり、戦争をしたことではないのだろう。自民党の政治家の発言を聞いていると、「今度は、米国の警察犬として、世界の警察官と一緒に戦うのだから、何が問題か」という気分でいるとしか思えない。「存立危機事態」の本音は、「満蒙は生命線」という発想だ。「ABCD包囲網によって、やむなく戦争せざるを得なくなった、自衛戦争だ」といまだに言っているのと同じだ。今風に言いかえれば、「米国やソ連だって、集団的自衛権(軍事同盟ブロック)を利用して経済圏を確保したのに、なぜ日本だけ自衛隊を外交の手段にして外国の経済利権を確保できないのか!!」というものだ。
公明党にも同じ考えがあるのだろうか。戦前は、国家神道で宗教までが統制され、信教の自由が制限された。ところが、宗教弾圧そのものが間違いだったのではなく、「弾圧される側だったのが間違いだった。今度は自分たちが国家権力の座についているから大丈夫だ」くらいに考えていたら、戦前逮捕された創価学会幹部が泣いていることだろう。
【秋山 広】
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