安藤氏会見。新国立競技場の空虚さが浮き彫りに
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迷走を続ける新国立競技場問題。これまで、カギを握るのは、ラグビーワールドカップで使うために建て替えを主導した森喜朗元首相、そしてデザインコンペで審査委員長を務めた安藤忠雄氏とされていた。その安藤氏が、我慢しきれなくなったのか、ついに重たい口を開いた。
そもそも手に余る計画だった
16日、新国立競技場のコストが2,520億円と大幅に増加した問題で、デザインコンペの審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏が記者会見を開いた。安藤氏は、7日に行なわれた第6回国立競技場将来構想有識者会議を欠席し、去就が注目されていた。
安藤氏は会見で開口一番、「大阪で講演会があって出席できかなった。だからといって、私に責任がすべてあるかのように報じられるのはおかしい」と述べた。さらに、「我々の責任はデザインコンペまで。その先のコストまでは関知していない」と説明。コストにおける無責任体制が改めて浮き彫りとなった。そもそも、デザインコンペ時点では、新国立競技場の総工費は1,300億円に設定されていた。それは審査委員会も認識しており、建築家のザハ・ハディド氏もその範疇(はんちゅう)でデザインしていたから採用されたはずだ。
ところがフタを明けてみると、基本設計の段階で「1,625億円」に増額。さらに、実施設計が終わると2,520億円と2倍近くに膨れ上がった。
これについて、安藤氏は「消費増税や物価上昇などの工事費上昇は理解できるが、それ以降の実施設計における大幅なコストアップについては、誰からも何の説明も受けていない。2,520億円になったのは報道で知ったが、何でそんなに増えたのか疑問に感じた」という。そもそも、1,300億円の競技場という時点で大き過ぎるとは感じなかったのか。安藤氏は「大きい建物だと思う」と言い、さらに「こんな大きな建物を私は作ったことがないから、予算がそんなにかかるのかと思った」と、さながら他人事だ。
15日に政府から見直しを検討するという話が出た事については、「国民の1人として見直しは必要と思う」と述べ、あくまで審査委員長としてではなく、国民の立場として現在の総工費は膨らみすぎとの見解を示した。この記者会見で明らかになったのは、「だれも責任をとらない」状態のまま事が運んでいたということだ。この巨大なハコモノは、経験のない安藤氏を審査委員長に仕立て上げた時点で手に余るものだった。建築構造にうとい文部科学省や日本スポーツ振興センターも同様だ。その結果、総工費の具体的な根拠があいまいのまま今日に至ったというわけだ。
新国立競技場の計画は、実に空虚なものだったと今回の記者会見で改めて認識できた。関連記事
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