大手金融グループ6社の経営成績を検証する（前）

【表1】は大手金融グループ6社の経営成績推移表である。
◆経常収益について
・一般企業の売上高にあたる22年3月期の経常収益1位は、三菱UFJフィナンシャルグループ（以下、FG）で前期比505億円増の6兆758億円（＋0.8％）と微増。
・2位は三井住友FGで、前期比2,088億円増の4兆1,111億円（＋5.4％）。
・3位はみずほFGで、前期比7,450億円増の3兆9,630億円（＋23.2％）と大幅な増収となっている。
・4位はゆうちょ銀行で、前期比309億円増の1兆9,776億円（＋1.6％）。
・5位は三井住友トラスト・HDで、前期比206億円増の1兆4,010億円（＋1.5％）。
・6位はりそなHDで、前期比211億円増の8,447億円（＋2.6％）。当社だけが1兆円を割っている。
◆経常利益について
・経常利益は経常収益と同様に順位の変動はない。1位は三菱UFJFGで、前期比4,840億円増の1兆5,376億円（＋45.9％）と大幅な増益となっている。
・2位は三井住友FGで、前期比3,296億円増の1兆406億円（＋46.4％）。増加率は6社中トップであり、1兆円以上は三菱UFJFGと当社の2社。
・3位はみずほFGで、前期比235億円増の5,598億円（＋4.4％）。2位の三井住友FGとは大きな差がある。
・4位はゆうちょ銀行で、前期比966億円増の4,908億円（＋24.5％）。3位のみずほFGに迫る勢いを見せている。
・5位は三井住友トラスト・HDで、前期比466億円増の2,297億円（＋25.5％）。
・6位はりそなHDで、前期比▲322億円の1,587億円（－16.9％）。当社だけが前期比マイナスとなっている。
◆当期純利益について
・6社の22年3月期および23年3月期（予想）とも順位の変動はない。
・22年3月期の第1位は三菱UFJFG）で、前期比3,538億円増の1兆1,308億円（＋45.5％）。23年3月期は前期比▲1,308億円の1兆円（－11.6％）。減益予想となっている。
・2位は三井住友FGで前期比1,938億円増の7,066億円（＋37.8％）。23年3月期は前期比634億円増の7,700億円（＋9.0％）。
・3位はみずほFGで前期比594億円増の5,304億円（＋12.6％）。23年3月期は前期比96億円増の5,400億円（＋1.8％）。微増予想。
・4位はゆうちょ銀行で前期比749億円増の3,550億円（＋26.7％）。23年3月期は前期比▲350億円の3,200億円（－9.9％）。減益予想となっている。
・5位は三井住友トラスト・HDで前期比269億円増の1,690億円（＋18.9％）。23年3月期は前期比210億円増の1,900億円（＋12.4％）。
・6位はりそなHD前期比▲145億円の1,099億円（－11.7％）。23年3月期は前期比401億円増の1,500億円（＋36.5％）。大幅な増益予想となっている。

【表2】は23年3月期の当期純利益（予想）が250億円以上の順位表である。
◆7位の千葉銀行の23年3月期の当期純利益（予想）は、前期比56億円増の600億円（＋10.3％）。
・8位はふくおかFG（傘下行:福岡銀行・熊本銀行・十八親和銀行・みんなの銀行）で、前期比29億円増の570億円（＋5.4％）。
・9位はコンコルディアFG（横浜銀行・東日本銀行）で、前期比12億円増の550億円（＋2.2％）。
・10位は静岡銀行で、前期比124億円増の540億円（＋29.8％）。大幅な増益予想。
・11位はめぶきFG（常陽銀行・足利銀行）で、前期比21億円増の450億円（＋4.9％）。
・12位はあおぞら銀行で、前期比10億円増の360億円（＋2.9％）。
・13位は新生銀行で、前期比147億円増の350億円（＋72.4％）。大幅な増益となっているものの、22年3月期は前期比▲248億円の203億円（－55.0％）だった。
・14位は伊予銀行で、前期比16億円増の280億円（＋6.1％）。
・15位は群馬銀行で、前期比6億円増の270億円（＋2.3％）。
・16位は西日本FH（西日本シティ銀行・長崎銀行）で、前期比18億円増の260億円（＋7.4％）。
・17位はひろぎんHD（広島銀行）で、前期比21億円増の250億円（＋9.2％）。
◆大手金融グループ6位のりそなHDの23年3月期の当期純利益（予想）1,500億円に対して、7位の千葉銀行は600億円と2.5倍の差があり、大手金融グループと地銀との収益格差が大きいことがわかる。11行のうち、九州地銀では、ふくおかFGと西日本FHの2社が入っている。

（つづく）

【（株）データ・マックス顧問 浜崎 裕治】