公明党が自民党候補を応援しないワケ
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早期の衆院解散・総選挙を求める動きが出てきた。
岸田首相は29日の衆議院内閣委員会で「今、衆院解散は考えていない」と語ったが、日韓首脳会談やウクライナ訪問など外交成果を基に上昇した内閣支持率を生かして4月に解散を行うのでは、との見方が永田町に広がったことに公明党が神経をとがらせている。
統一地方選とのダブル選挙や、6月21日の通常国会会期末までに解散となれば、支持団体である創価学会において国、地方の二正面作戦はとれないからだ。
29日、公明党の山口那津男代表は岸田文雄首相と首相官邸で昼食を共にしたが、早期解散にくぎを刺したとみられる。都道府県議会、政令市の選挙は、いよいよ明日告示となるが、全国的にも注目されている福岡県議会議員選挙において奇妙な動きがある。
県議会の選挙区は久留米市とうきは市が合区となり44だが、定数87人に対し127人が立候補を予定している。このうち最大会派である自民党は現職38人、元職1人、新人5人の44人を公認した。公明党は10人を擁立しているが、これまで国政でも連立を組む自民党を推薦するのが慣例であった。
今回、福岡県南の筑後市・八女市八女郡・柳川市の3つの選挙区で、公明党は自民党公認候補ではなく対抗馬を推薦している。
露骨なのは筑後市と八女市八女郡選挙区で、筑後市は現職で福岡県政のドンである蔵内勇夫氏(自民党)ではなく、元筑後市副市長の北島一雄氏に公明党は推薦を出した。一昨年の筑後市長選挙では蔵内氏が支援した候補が敗れ、公明党筑後総支部が推薦した現職の西田市長が再選を果たした。今回、西田市長は副市長を務めた北島氏を支援している。
公明党の動きに神経を尖らせる自民党関係者
隣の八女市は、定数2で県議会議長・桐明和久氏(自民党)と福岡県農政連公認の栗原悠次氏(緑友会)が現職である。そこに自治労など旧社会党系労組と、元八女市長の野田国義参議院議員(立憲民主党)のバックアップで、元八女市職員・青木剛志氏が挑戦した構図であるが、カギを握る公明党の票がどこに行くのかが注目されていた。
データ・マックスの取材に対し、栗原悠次氏は「22日に伝達式をしてもらい、公明党から推薦をいただいた」と認めた。柳川市においても現職は古賀一成衆議院議員の元秘書で緑友会所属の椛島徳博氏だが、自民党公認で元柳川市議会議員の立花純氏が立候補する。柳川でも公明党は立花氏ではなく椛島氏に推薦を出した。
こうした公明党の動きに自民党県連関係者は神経を尖らせている。筑後地域の複数の現職自民系市議は「福岡6区補選の遺恨が残る鳩山二郎氏が、公明党を動かしている」と口を揃える。
今年2月11日に久留米市で行われた日本会議福岡県南支部主催の「日本の建国をお祝いする市民の集い」に久留米市選出の福岡県議出身であった吉田宣弘衆議院議員が出席していた。吉田氏は選択的夫婦別姓に賛成しており、伝統的家族観を重視する日本会議とは思想的に開きがある。鳩山二郎氏と公明党は、父・邦夫氏の時代から近しい関係にあり出席したとみられる。
黙っていないのが福岡県政のドン、蔵内氏だ。昨年の安倍元首相の銃撃事件以降、旧統一教会と政治の関係がクローズアップされたことを受けて、県議会主要4会派による非公式の代表者会議で、県議会としての調査を求める意見が相次いだ。
9月22日に、桐明和久議長が議会運営委員会に諮問したうえで、旧統一教会を含む宗教団体と議員の関係を調査する委員会を設置したが、蔵内氏は「もっと徹底的に行うべきだ」と主張していたという。その真意は、明言されてはいないものの、自民党関係者は「公明党の支持母体を念頭においているのでは」という。
小泉改革以降、農協や建設業協会や医師会など職能団体の集票力が低下するなかで、宗教票は手堅、数万人といわれる旧統一教会ですら影響力を行使してきた。往時の勢いはないとはいえ、創価学会の集票力は侮りがたく地方ほど大きい。
今回の統一地方選挙でも、宗教団体の動きから目を離せない。
【近藤 将勝】
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