人類と世界の未来を左右する欧米投資ファンドのパワー(4)
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国際政治経済学者 浜田 和幸 氏
NPO法人日本バイオベンチャー推進協会(JBDA; 理事長 松島綱治氏)が主催する第42回JBDAバイオベンチャーフォーラムが5月9日、東京大学(東京都文京区)で開催された。国際政治経済学者の浜田和幸氏が、「人類と世界の未来を左右する欧米投資ファンドのパワー」をテーマに同フォーラムで講演した。浜田氏の講演内容を紹介する。
米国の時代はカウントダウンが始まっている
米国の時代はカウントダウンが始まっています。米国の現状を分析すると、米国では貧富の格差が大きく、上位3%が富の70%を独占しています。米国企業はトップと一般社員の賃金格差が大きく、マクドナルドでは2,124倍、GAPでは3,566倍です。このような富の格差が、銃の乱射などの社会問題を生んでいます。米国はこのままでいいのでしょうか。
元シカゴ市長のエマニュエル大使は、G20は国の数が多くて意見がまとまらないため、G7が大切だとしています。自分たちのいうことを聞いてくれる国が大切であるという考えですが、G7とBRICsの経済格差が広がっています。
バイデン大統領はロシアに追加で経済制裁を行うとしていますが、世界ではどれだけの国が米国に同調するでしょうか。米国は100年間、世界の頂点に立っていましたが、米国の力は先細りです。150カ国近くは米国のいうことを聞いていません。米国のいうことを聞いても、米国が面倒を見てくれるという保証はないからです。このような状況で、台湾有事になっても米国が日本を助けてくれる見込みはないでしょう。岸田首相は足元の国内情勢を見ずに米国のいう通りにしていますが、米国から助けてもらえず、世界の大きな流れからずれる一方です。
これからは国と国ではなく、地域と地域、個人と個人で国際関係を築いていく発想が大切です。家族や友人、地域の人たちとどのような関係を築き、どんなサービスや商品が世界で求められるのかに焦点を当てるべきです。
ブラックロックは資金を世界中に投資していますが、究極の目的はAIビジネスです。ブラックロックは、人間とAIの合体に向けたビジネスに投資しており、しかも、世界人口の80%はAIに取って代わられても問題ないという方針です。1人ひとりの思いは、もはや彼らの眼中にはありません。このような金銭中心のファンドが世界をリードしていいのでしょうか。
日本が長年築いてきた、自然を大切にすることや四季折々の食文化、地域コミュニティの助け合いは大切な姿勢です。このような発想を日本からアジア、世界に広めていくことが、政治の役割であり、経済界や組織の使命です。また、これからはアジアの時代です。国際情勢を中国抜きには語れません。中国は日本との長年の交流や文化のつながりもあります。日本は中国をはじめ、北朝鮮や韓国との関係も注目していくべきでしょう。
(了)
【文・構成:石井 ゆかり】
<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
1953年、鳥取県生まれ。国際政治経済学者。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。国際未来科学研究所主宰。清華大学国家戦略研究院在外研究員。新日本製鐵、米国戦略国際問題研究所、議会調査局を経て、参議院議員に当選。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020東京オリンピック招致委員などを歴任。アルベルト・シュバイツアー国際貢献賞受賞(オーストリア・シュバイツアー協会)。アラブ諸国友好功労賞受賞(在京アラブ外交団)。日中ブロックチェーン協会理事長。著書多数。最新作は『世界のトップを操る“ディープレディ”たち!』(ワック)。趣味の書道を通じて日中の文化芸術交流に尽力。全日中展顧問。23年5月、旭日中綬章を受賞。関連キーワード
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