連合、来年春闘で「5%以上」の賃上げ要求、政府は建設業と介護職の賃上げ検討
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19日、連合の芳野友子会長は、2024年の春季労使交渉で「5%以上」の賃上げを要求すると発表した。
新たな要求目標は23年の5%「程度」から「以上」という強い表現になった。連合は23年に賃上げ要求を4%から5%に引き上げ、結果は平均3.58%と30年ぶりの水準になった。ただし、定期昇給を除いたベースアップは、定昇とベアを明確に区別できる組合のデータによれば2.12%で、3%以上で推移する消費者物価の伸びを下回っている。これは実質賃金のマイナスを意味しており、賃上げの実感にはつながっていない。
また、賃上げ率は企業規模や業種によって異なる。23年の春季交渉では従業員1,000人以上で平均3.69%だったが、100人未満では2.94%にとどまった。また、業種間でも製造業が3.92%に対し、交通運輸は2.50%となっている。これらの差はいずれも前年より広がっている。
連合は、中小企業における価格転嫁の遅れによる収益圧迫と、中小の賃上げ率が相対的に低位にとどまっていることも指摘、中小企業の賃上げがとくに重要であることを強調する。
芳野会長は記者会見で「すべての働く人の生活を持続的に向上させる」として、23年を上回る賃上げを目指すことを強調した。
今後連合の要求を基に、24年春に向けて各社の労使協議が始まる。しかし、高水準の賃上げの実現は、中小企業において厳しいという見方は強い。
政府は介護職と建設業の賃上げによる人材確保策を検討
政府・与党は経済対策のなかで、介護職の賃上げを対象として盛り込む方針を固めた。介護分野からの人材流出は大きな問題となっており、これに対応するため、月に約6,000円の賃上げを提案、来年2月の実施を目指している。
介護事業者の収入となる介護報酬は、国が定める公定価格であり3年ごとに改定される。来年度は改定の年にあたり、今年の年末の予算編成過程で報酬の増減が議論される見込み。
今年の春闘では全産業平均での賃上げが3.6%となったのに対し、介護や医療の分野は1%台にとどまっていた。介護職から小売業などへの人材流出も発生し、厚生労働省幹部からは「介護業界の崩壊」を懸念する声が挙がっていた。
また、建設業の労働者確保の問題についても、19日、岸田首相は国土強じん化推進本部の会合で、建設業の人材確保を目的とした構造的な賃上げを実現するための具体策の検討を関係閣僚に指示し、来年の通常国会に向けて、必要な法整備などを進めるとした。
【寺村朋輝】
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