賃貸住宅管理業法をおさらいしよう
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賃貸住宅管理業法が、2021年6月15日に全面施行され、200戸以上の住宅を管理する賃貸住宅管理業者には国交大臣への「登録」が義務付けられました。登録のための1年間の移行期間も終了しましたが、早速今年3月10日、国交省は、同法に基づく初の監督処分を発表しました。そこで、改めて同法についてのおさらいをしておきましょう。
管理業法は大きく(1)賃貸住宅管理事業者の登録制度と、(2)特定賃貸借契約(マスターリース)の適正化のための措置等を定めています。いずれも「賃貸住宅」を対象にしていますので、オフィスや倉庫等の管理業務は対象ではありません。
登録制度について
200戸以上の住宅を管理する業者は「登録」が義務付けられましたので、登録しないと無許可営業として罰則の対象になります。管理戸数が200戸未満の小規模管理業者でも社会的信用のために任意に登録することは可能ですが、登録すれば同法の規制を受けることになります。
登録業者は、業務管理者の選任、管理契約締結前のオーナーへの重要事項の説明と書面交付、契約締結時の書面交付、財産の分別管理、オーナーへの定期報告などが義務づけられています。
特定賃貸借契約の適正化
特定賃貸借(マスターリース)契約は、オーナー・事業者間の一括借り上げ契約をいい、これを基に事業者が第三者(入居者)に部屋を貸す契約を転貸借(サブリース)契約といいます。
相続をきっかけに事業を始めるなど、事業経験の浅いオーナーが増加しています。そうしたなか、サブリース業者がオーナーになろうとする者に対し、家賃の見直しやマスターリース契約の解除の条件など、サブリース方式での賃貸経営に係る潜在的なリスク・デメリットの説明を十分に行っていないケースが多く、トラブルが多発していました。そのため同法では、サブリース業者に対し、誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、契約締結前の重要事項の説明と書面交付、契約締結時の書面交付などを義務づけています。
なお、サブリース事業では、賃貸住宅の建築を請け負う建設業者、土地等の売買の仲介を行う不動産会社がサブリース事業者と連携し、オーナーとなろうとする者に対して勧誘をするケースがあるため、規制される対象には、サブリース事業者だけではなく、これらの「勧誘者」も含まれます。
誇大広告が禁止される事項については、借上賃料の条件、支払期間、見直しがある場合はその見直しの頻度、利回り、建物の維持保全の実施方法、建物の維持保全にかかる費用負担の割合、解約に関する事項などになります。
なお、冒頭の監督処分では、重要事項説明書の交付について、管理受託業務について8件、マスターリース契約について59件の合計67件で違反があったことで業務停止処分がされています。このようなことが起きないよう、改めて、社内での書類の整備や業務フローの確認・徹底をお勧めいたします。
<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所
所在地:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/
<プロフィール>
岡本 成史(おかもと・しげふみ)
弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。ケア・イノベーション事業協同組合理事。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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